XIRR関数 – 不定期のキャッシュフローに基づいて内部収益率(IRR)を計算する関数
1. 使い方と活用例
XIRR関数は、キャッシュフローの日付が不規則な場合に、それぞれのキャッシュフローに対応した年利換算の内部収益率(IRR)を計算するために使用されます。
定期的な間隔ではない投資や返済の計画において、より現実的な収益率の評価が可能になります。
複数の出資や回収がバラバラの日付で行われるプロジェクトや、ベンチャーキャピタルの投資評価などで特に活用されます。
2. 基本の書式
=XIRR(値, 日付, [推定値])
3. 引数の説明
- 値 – 各日付に対応するキャッシュフローの金額。支出は負の数、収入は正の数で表します。
- 日付 – 各キャッシュフローが発生する日付。Excelの日付形式で指定し、「値」と同じ順序で並んでいる必要があります。
- 推定値(省略可能) – IRRの初期推定値。指定しない場合は0.1(10%)が使用されます。
4. 使用シーン
- 不動産投資などで、出資と収益が不定期に発生するケースの利回り評価
- スタートアップ投資で複数回の資金提供と回収が行われる場合の収益性測定
- 事業投資のキャッシュフローがプロジェクトごとに異なる日付で発生する場合のパフォーマンス分析
5. 応用のポイント
XIRR関数を使用する際には、必ず正(収入)と負(支出)の両方の値を含める必要があります。
また、最初のキャッシュフローは通常支出として負の値で始まる必要があります。
計算が収束しない場合、「#NUM!」エラーが表示されることがありますが、その際は推定値を変更することで解決する場合があります。
6. 具体例とその解説
A列(値):
A1: -100000
A2: 20000
A3: 30000
A4: 40000
A5: 25000
B列(日付):
B1: 2023/01/01
B2: 2023/07/01
B3: 2024/01/01
B4: 2024/07/01
B5: 2025/01/01
=XIRR(A1:A5, B1:B5)
この例では、初期投資として10万円を出資し、その後複数回にわたり収益を得たケースにおいて、年利ベースの内部収益率を算出します。
不定期に発生するキャッシュフローが日付ごとに正しく対応していれば、XIRR関数が現実的な利回りを返します。
7. 関連関数の紹介
- IRR関数 – 一定間隔のキャッシュフローに基づく内部収益率を求める関数
- XNPV関数 – 不定期キャッシュフローに基づいて正味現在価値(NPV)を計算する関数
- NPV関数 – 一定間隔のキャッシュフローに基づくNPVを算出する関数
8. まとめ
XIRR関数は、日付が不規則なキャッシュフローの収益率を年率換算で評価できる、非常に実用的な関数です。
投資案件やプロジェクトの実際の資金流れを正確に反映した利回りを求める際に不可欠です。
適切な日付と金額を揃えることで、より正確な評価が可能になります。
9. 対応バージョン
XIRR関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで利用可能です。
Excel for Microsoft 365やExcel 2019、Excel 2021にも対応しています。