WEIBULL.DIST関数 – ワイブル分布の確率密度または累積分布を求める関数
1. 使い方と活用例
WEIBULL.DIST関数は、指定したパラメータに基づいて、ワイブル分布(Weibull distribution)の確率密度関数または累積分布関数の値を返します。
製品の寿命分析や故障率の予測、信頼性工学などにおいて広く使用されます。
この関数は旧WEIBULL関数の後継で、Excel 2010以降に導入された新しい関数です。
2. 基本の書式
=WEIBULL.DIST(x, alpha, beta, cumulative)
3. 引数の説明
- x – 分布を評価する対象の値(0以上の数値)を指定します。
- alpha – ワイブル分布の尺度パラメータ。正の数である必要があります。
- beta – ワイブル分布の形状パラメータ。正の数である必要があります。
- cumulative – TRUEを指定すると累積分布関数を、FALSEを指定すると確率密度関数を返します。
4. 使用シーン
- 製品の耐久性や寿命の予測分析
- 故障率やリスク評価の統計モデル化
- 保証期間内の故障確率を見積もる計算
5. 応用のポイント
形状パラメータ beta
の値によって分布の形状が変化します。
β < 1 では初期故障型(初期に故障が集中)、β = 1 では指数分布(一定の故障率)、β > 1 では摩耗型(時間が経つほど故障率が増加)を示します。
尺度パラメータ alpha
は分布の広がりを制御します。
この性質を活かして、現実の製品や部品の故障傾向に応じた適切なモデル構築が可能です。
6. 具体例とその解説
=WEIBULL.DIST(5, 2, 1.5, TRUE)
この式は、x=5、α=2、β=1.5 のワイブル分布における累積分布関数の値(5以下となる確率)を求めます。
TRUE を指定しているため、累積確率が返され、対象値がその分布内でどの程度の位置にあるかが分かります。
=WEIBULL.DIST(5, 2, 1.5, FALSE)
この場合は、x=5 における確率密度関数の値を返します。
これは密度関数の形状やピークなどを知るために使われ、グラフ描画などにも有効です。
7. 関連関数の紹介
- WEIBULL関数 – WEIBULL.DISTの旧バージョン(Excel 2010以前)
- EXPON.DIST関数 – 指数分布の確率を求める関数(β=1のワイブル分布と同じ)
- NORM.DIST関数 – 正規分布に基づく確率を求める関数
- GAMMA.DIST関数 – ガンマ分布に基づく関数で、ワイブル分布と似た用途に使用される
8. まとめ
WEIBULL.DIST関数は、ワイブル分布を用いた確率解析に適した統計関数です。
柔軟な形状制御が可能で、故障率・寿命分布・リスク評価など、信頼性の高い分析に役立ちます。
旧WEIBULL関数の代替として、今後はこちらの関数を使うことが推奨されます。
9. 対応バージョン
WEIBULL.DIST関数はExcel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前のバージョンでは使用できず、代わりにWEIBULL関数を使用する必要があります。