VDB関数 – 財務

VDB関数 – 減価償却費を可変定率法で計算する関数


1. 使い方と活用例

VDB関数は、資産の減価償却費を可変定率法(Variable Declining Balance method)で計算するための関数です。
特に、期間が年の途中である場合にも対応可能で、より柔軟な減価償却の計算が可能となります。
資産の購入から売却、もしくは償却完了までの期間に応じた減価償却費を精密に求めたい場合に有効です。

2. 基本の書式

=VDB(cost, salvage, life, start_period, end_period, [factor], [no_switch])

3. 引数の説明

  • cost – 資産の初期コスト(取得原価)を指定します。
  • salvage – 資産の残存価値(耐用年数終了時点での予想残存価格)を指定します。
  • life – 資産の耐用年数(償却期間)を年単位で指定します。
  • start_period – 減価償却を計算する開始期間を指定します(年単位でも月単位でも可)。
  • end_period – 減価償却を計算する終了期間を指定します。
  • [factor] – (省略可能)定率法で使用する償却率を指定します。省略時は2(200%定率法)になります。
  • [no_switch] – (省略可能)定額法への切替を行わない場合はTRUEを指定します。省略時は自動で切り替えが行われます。

4. 使用シーン

税務会計や財務分析において、定率法と定額法を組み合わせた償却計算を行いたいときに適しています。
また、耐用年数が長く、年の途中で購入または売却された資産の減価償却を詳細に算出する場面にも活用されます。

5. 応用のポイント

factor引数を変更することで、150%や125%定率法による計算も可能です。
また、no_switchをTRUEに設定することで、減価償却が定率法のみで進行し、より早期に費用計上されるパターンを再現できます。

6. 具体例とその解説

以下のように、初期コストが10000円、残存価値が1000円、耐用年数が5年の資産に対して、2年目の減価償却費を計算する例を示します。

=VDB(10000, 1000, 5, 1, 2)

この場合、1年目から2年目にかけての減価償却額が計算されます。
デフォルトの200%定率法が使用され、必要に応じて定額法への切替が行われます。

7. 関連関数の紹介

  • DB関数 – 定率法による減価償却費を計算する関数
  • DDB関数 – 加速定率法(倍額法)で減価償却費を計算する関数
  • SLN関数 – 定額法による減価償却費を計算する関数
  • SYD関数 – 年数総和法による減価償却費を計算する関数

8. まとめ

VDB関数は、可変定率法に基づいた詳細な減価償却計算が可能な高度な関数です。
税務会計だけでなく、企業の財務戦略においても有効に活用できます。
引数の組み合わせ次第で、柔軟な償却モデルの設計が可能です。

9. 対応バージョン

VDB関数は、Excel 2003以降のすべてのバージョンで利用可能です。
Microsoft 365およびExcel Onlineでも対応しています。