VARP関数 – 母集団全体の分散を求める関数
1. 使い方と活用例
VARP関数は、指定された数値データが母集団全体であると仮定して、その分散(値のばらつき具合)を計算する関数です。
統計分析において、母集団のデータ全体を用いて、ばらつきの程度を測定したい場合に使われます。
2. 基本の書式
=VARP(number1, [number2], ...)
3. 引数の説明
- number1 – 分散を計算したい最初の数値またはセル範囲を指定します。
- [number2], … – (省略可能)追加の数値やセル範囲を指定できます。最大255個まで引数を指定可能です。
4. 使用シーン
- 製品の品質検査などで、全サンプルのばらつきを把握したい場合
- 全社員の給与データを元に給与格差を測定したい場合
- 業務成績のばらつきを母集団全体で分析するケース
5. 応用のポイント
VARP関数は母集団全体を前提とした分散を計算するため、標本からの推定には適していません。
標本の分散を求めたい場合は、VAR関数またはVAR.S関数を使用します。
また、非数値データや空白セルは自動的に無視されますが、論理値は無視される点に注意が必要です。
6. 具体例とその解説
=VARP(10, 12, 23, 23, 16, 23, 21, 16)
この式では、指定された8つの数値を母集団と見なし、それらの分散を計算します。
分散とは各値と平均値との差を2乗し、それをデータの個数で割った値です。
この場合、平均値は約18で、各値との差を2乗した値の合計を8で割ることで分散が求められます。
7. 関連関数の紹介
- VAR関数 – 標本に基づく分散を求める関数(Excel 2010以前)
- VAR.S関数 – 標本に基づく分散を求める関数(VAR関数の後継)
- VAR.P関数 – 母集団全体の分散を求める関数(VARP関数の後継)
- STDEVP関数 – 母集団全体の標準偏差を求める関数
8. まとめ
VARP関数は、データが母集団全体であることを前提とした分散計算に使用されます。
Excel 2010以降ではVAR.P関数に置き換えられており、今後は新しい関数を使用することが推奨されます。
統計分析において、目的に応じて母集団か標本かを区別して関数を選択することが重要です。
9. 対応バージョン
VARP関数はExcel 2007以前から使用可能ですが、Excel 2010以降では非推奨となり、VAR.P関数への移行が推奨されています。
新しいブックや関数においてはVAR.P関数の使用を検討してください。