VAR.S関数 – 統計

VAR.S関数 – 標本に基づく分散を計算する関数


1. 使い方と活用例

VAR.S関数は、データの「標本」に基づく分散(variance)を計算するための統計関数です。
母集団全体ではなく、抽出された一部のデータ(標本)に対して、そのデータの散らばり具合を数値で表します。
品質管理やデータ分析、リサーチ結果のばらつき評価などに利用されます。

2. 基本の書式

=VAR.S(number1, [number2], ...)

3. 引数の説明

  • number1 – 分散を求めたい数値または範囲を指定します(必須)。
  • [number2], … – 追加の数値または範囲を最大254個まで指定可能です(省略可能)。

4. 使用シーン

アンケート調査やサンプリング分析において、標本データの分散を調べたい場合に適しています。
また、製品のバラつきや学生のテスト成績など、平均からのばらつきを把握したい場合にも活用されます。

5. 応用のポイント

VAR.S関数は、母集団の一部である標本に使用する関数であるため、全体のデータ(母集団)に対してはVAR.P関数を使うのが適切です。
また、VAR.Sは古いVAR関数の後継であり、精度や互換性が向上しています。

6. 具体例とその解説

次のようなテスト得点データに対して分散を求めたい場合を考えます。

=VAR.S(80, 90, 75, 85, 95)

この式では、5つの得点を標本とみなし、これらのばらつき(分散)を計算します。
結果は、平均値からの偏差の2乗の平均(n−1で割る)によって求められます。

7. 関連関数の紹介

  • VAR.P関数 – 母集団全体に基づく分散を計算する関数
  • STDEV.S関数 – 標本に基づく標準偏差を計算する関数
  • AVERAGE関数 – データの平均値を計算する関数
  • MEDIAN関数 – データの中央値を求める関数

8. まとめ

VAR.S関数は、標本データのばらつきを統計的に評価するための基本的な関数です。
母集団と標本の違いを理解した上で、適切に使い分けることが重要です。
特にサンプリング調査や統計解析においては欠かせない関数の一つです。

9. 対応バージョン

VAR.S関数は、Excel 2010以降で導入された関数です。
それ以前のバージョンではVAR関数を使用する必要があります。
Microsoft 365、Excel 2013、2016、2019、およびExcel for the Webでも使用可能です。