TTEST関数 – 2つのデータセットに対するt検定のp値を返す関数
1. 使い方と活用例
TTEST関数は、2つのサンプルデータに対してt検定を実行し、その結果のp値(帰無仮説が正しい確率)を返す関数です。
この関数は Excel 2010 以降では非推奨とされており、代わりに T.TEST関数
が推奨されています。
2. 基本の書式
=TTEST(配列1, 配列2, 両側か片側か, 検定の種類)
3. 引数の説明
- 配列1 – t検定を行う1つ目のデータセット。
- 配列2 – t検定を行う2つ目のデータセット。
- 両側か片側か – 検定のタイプ。
1:片側検定
2:両側検定 - 検定の種類 – t検定の手法。
1:対応のない等分散の2標本t検定
2:対応のない不等分散の2標本t検定(Welchのt検定)
3:対応のある2標本t検定(対になったデータ)
4. 使用シーン
- 2つのグループ間に統計的に有意な差があるかを検定したいとき
- 新旧製品の平均比較や、実験前後の差の検証
- 学術研究やビジネスデータにおける平均の差の分析
5. 応用のポイント
TTEST関数は非推奨関数であるため、新しいブックでは T.TEST関数
の使用が推奨されます。
TTEST関数の結果は、指定した片側または両側検定のp値であり、値が小さいほど帰無仮説を棄却しやすくなります(例:p < 0.05 で有意差あり)。
6. 具体例とその解説
=TTEST(A1:A10, B1:B10, 2, 1)
A列とB列の2群間に対して、両側検定(2)・等分散の前提(1)でt検定を行い、p値を返します。
この結果が0.05未満であれば、2つのデータセット間に統計的に有意な差があると判断されます。
7. 関連関数の紹介
- T.TEST関数 – TTESTの推奨後継関数。より明確な引数名と構造を持つ。
- T.DIST関数 – t分布に基づく累積確率を返す関数
- T.INV関数 – 指定確率に対応するt値を返す関数(片側)
- VAR.S関数 – 標本の分散を計算する関数(検定に必要な前提条件)
8. まとめ
TTEST関数は、t検定の基礎を簡単に実行できる便利な関数ですが、現在はT.TEST関数への移行が推奨されています。
平均値の差の有意性を簡単にチェックできるため、仮説検定や実験結果の検証に役立ちます。
9. 対応バージョン
TTEST関数は、Excel 2007以前では現役の関数として使用され、Excel 2010以降では非推奨となり、T.TEST関数に置き換えられました。