T.TEST関数 – 2つのデータセットの平均の差が有意かどうかを判定する関数
1. 使い方と活用例
T.TEST関数は、2つのサンプル(標本)データの平均値に有意な差があるかを検定(t検定)し、その結果としてP値を返す関数です。
このP値をもとに、統計的に差があるかどうかを判断できます。
医療研究、品質管理、教育分野などで幅広く使われます。
2. 基本の書式
=T.TEST(array1, array2, tails, type)
3. 引数の説明
- array1 – 1つ目のサンプルデータ範囲を指定します。
- array2 – 2つ目のサンプルデータ範囲を指定します。
- tails – 検定の種類を指定します。1の場合は片側検定、2の場合は両側検定を行います。
- type – t検定の種類を指定します:
- 1 – 対応のあるt検定(ペアになったデータ間の比較)
- 2 – 等分散を仮定した2標本のt検定
- 3 – 異分散を仮定した2標本のt検定(Welchのt検定)
4. 使用シーン
- 薬の効果を検証するために投与前後のデータを比較する(対応のあるt検定)
- 2つの製品の平均寿命に差があるかを確認する(2標本t検定)
- 教育プログラムの前後での成績差を検証する
5. 応用のポイント
返されるP値が小さいほど、2つの平均値の差が統計的に有意である可能性が高くなります。
一般的にはP値が0.05未満なら「有意差あり」と判断されます。
type引数で正しいt検定の種類を選ぶことが結果の信頼性に直結します。
サンプル数や分散の違いに応じて、等分散か異分散かを判断して適切に指定しましょう。
6. 具体例とその解説
=T.TEST(A1:A10, B1:B10, 2, 3)
この式は、範囲A1:A10とB1:B10の2つのサンプルデータに対して、両側検定(tails=2)を行い、
異分散を仮定したt検定(type=3、Welchのt検定)を実行します。
結果として返されるP値によって、両者の平均値に有意な差があるかどうかを判断します。
7. 関連関数の紹介
- Z.TEST関数 – 母集団の平均値との比較に用いるZ検定のP値を返す関数
- F.TEST関数 – 2つの標本の分散に差があるかを検定する関数
- AVERAGE関数 – データの平均値を求める関数
- STDEV.S関数 – 標本の標準偏差を求める関数
8. まとめ
T.TEST関数は、2つのサンプルデータ間に統計的な差があるかどうかを評価する強力な統計関数です。
片側検定や両側検定、データの性質に応じたt検定の選択が可能で、正確な仮説検定を実施できます。
結果として得られるP値は、有意差の有無を判断する重要な指標となります。
9. 対応バージョン
T.TEST関数はExcel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では、TTEST関数が同様の機能を提供しており、T.TESTはその後継関数です。