TREND関数 – 線形回帰に基づいて将来の値や傾向を予測する関数
1. 使い方と活用例
TREND関数は、既知のxとyの値に基づいて、線形回帰直線を求め、その回帰直線に基づいてyの予測値を算出する関数です。
売上や需要など、時系列データの傾向を把握し、将来の予測に活用できます。
2. 基本の書式
=TREND(既知のy, [既知のx], [新しいx], [定数])
3. 引数の説明
- 既知のy – 回帰分析の基準となるy(従属変数)の既知データ。
- [既知のx] – yに対応するx(独立変数)の既知データ。省略すると {1,2,3,…} と仮定されます。
- [新しいx] – 予測したいxの値。省略すると、既知のxと同じ範囲が使われます。
- [定数] – 回帰直線の切片を0に固定するかどうか。TRUEまたは省略時は、通常の切片あり回帰。FALSEにすると切片0に固定されます。
4. 使用シーン
- 過去の売上データをもとに今後の売上を予測したいとき
- 実験データや観測データから傾向を算出したいとき
- 回帰直線をもとにグラフ化やシミュレーションを行いたいとき
5. 応用のポイント
TREND関数は、配列関数として複数の予測値を一度に返すことができます。
動的配列が使える環境では、そのまま複数セルにスピルされます。
古いバージョンでは、範囲を選択したうえで Ctrl + Shift + Enter を使う必要があります。
6. 具体例とその解説
=TREND(B2:B6, A2:A6, A7:A9)
A列に年(例:2020〜2024)、B列に売上データがあるとします。
この式は、2025〜2027年に相当するA7:A9のx値に基づいて、売上を予測します。
TREND関数が返すのは線形回帰直線に基づくyの推定値です。
=TREND({100, 120, 140})
このように既知のyだけを指定すると、xは {1,2,3} と仮定され、同じ範囲でのトレンドが計算されます。
7. 関連関数の紹介
- LINEST関数 – 回帰分析の係数や統計情報を返す関数
- FORECAST.LINEAR関数 – 線形回帰に基づいて単一のyを予測する関数
- SLOPE関数 – 回帰直線の傾きを求める関数
- INTERCEPT関数 – 回帰直線の切片を求める関数
8. まとめ
TREND関数は、シンプルな線形回帰に基づいて将来値を予測できる強力な関数です。
時系列予測や回帰分析をExcel内で簡単に行えるため、業務分析や研究にも活用されます。
複数の予測値を配列で返すため、グラフやシミュレーションにも応用可能です。
9. 対応バージョン
TREND関数は、Excel 2007以降すべてのバージョンで使用可能です。
配列スピルによる自動展開は、Microsoft 365 および Excel 2021以降で対応しています。