T.DIST関数 – t分布における累積確率または確率密度を返す関数
1. 使い方と活用例
T.DIST関数は、t分布の累積分布関数または確率密度関数の値を求めるための関数です。
指定したt値および自由度に対して、左片側の累積確率または確率密度を計算します。
統計的仮説検定やp値の計算に活用されます。
2. 基本の書式
=T.DIST(x, 自由度, 累積)
3. 引数の説明
- x – t値(実数)を指定します。これは、検定統計量などです。
- 自由度 – t分布の自由度(通常はサンプルサイズ – 1)を整数で指定します。
- 累積 – 関数のタイプを指定します。
TRUE:累積分布関数(CDF)
FALSE:確率密度関数(PDF)
4. 使用シーン
- 片側t検定のp値計算
- 統計グラフや分布の可視化
- 特定のt値における累積確率または密度の算出
5. 応用のポイント
T.DIST関数は「左片側」の分布を返すため、
右片側の確率を求めたい場合は =1 - T.DIST(...)
のように補完する必要があります。
両側検定には T.DIST.2T 関数を使うのが適切です。
6. 具体例とその解説
=T.DIST(1.96, 10, TRUE)
自由度10のt分布における t値1.96 以下の累積確率(左側のp値)を返します。
結果は約 0.949(約94.9%)となります。
=T.DIST(1.96, 10, FALSE)
この式では、自由度10、t=1.96 における確率密度関数(PDF)の値が返されます。
結果は約 0.059 になります。
7. 関連関数の紹介
- T.DIST.RT関数 – t分布の右片側の累積確率を返す関数
- T.DIST.2T関数 – t分布の両側の累積確率を返す関数
- T.INV関数 – 指定した確率に対応するt値を返す関数(片側)
- T.INV.2T関数 – 両側の確率に対応するt値を返す関数
8. まとめ
T.DIST関数は、t分布における累積確率や密度を計算するための関数で、
片側検定や統計分析におけるp値の算出に適しています。
用途に応じて、T.DIST.RT や T.DIST.2T などの関数と使い分けることで、より正確な統計処理が可能になります。
9. 対応バージョン
T.DIST関数は、Excel 2010以降のバージョンで使用可能です。
それ以前では、TDIST関数(非推奨)を使用していました。