STEYX関数 – 統計

STEYX関数 – 回帰分析における予測誤差(標準誤差)を求める関数


1. 使い方と活用例

STEYX関数は、回帰直線に基づいて予測された y の値と、実際の y の値との差(残差)のばらつきを示す標準誤差を求める関数です。
これは回帰分析における予測精度を数値的に評価するために使われます。

2. 基本の書式

=STEYX(既知のy, 既知のx)

3. 引数の説明

  • 既知のy – 予測対象となる実測の y の値(従属変数)を指定します。
  • 既知のx – y を予測するために用いる x の値(独立変数)を指定します。

4. 使用シーン

  • 回帰分析でモデルの予測精度(どれだけ誤差が小さいか)を確認したいとき
  • 営業成績や学力テストなどの予測モデルの信頼性を定量的に示したいとき
  • 予測結果に対する信頼区間の計算や説明変数の効果を示すとき

5. 応用のポイント

STEYX関数が返すのは、次の式で定義される回帰線の標準誤差です:
標準誤差 = √(Σ(実測値 − 予測値)² / (n−2))
値が小さいほど、予測と実測値のずれ(残差)が小さい=回帰モデルの精度が高いことを意味します。
引数の x、y のデータは同じ数の要素を持つ必要があります。

6. 具体例とその解説

=STEYX(B2:B10, A2:A10)

A列に入力された説明変数(x)、B列に対応する目的変数(y)に基づいて、回帰モデルの標準誤差を計算します。
この数値が小さいほど、モデルは正確に予測していると判断できます。

=STEYX({90,85,78,92,88}, {1,2,3,4,5})

学習時間(x)とテストの点数(y)の関係を仮定し、モデルの予測誤差を求める例です。

7. 関連関数の紹介

  • LINEST関数 – 回帰直線の係数(傾き・切片)や誤差情報を返す関数
  • FORECAST.LINEAR関数 – 線形回帰に基づいた予測値を返す関数
  • RSQ関数 – 決定係数(R²)を返す関数(予測の当てはまりの良さ)
  • SLOPE関数 – 回帰直線の傾きを求める関数
  • INTERCEPT関数 – 回帰直線のy切片を求める関数

8. まとめ

STEYX関数は、回帰分析で作成した予測モデルの誤差を評価するための基本的な統計関数です。
値が小さいほどモデルの信頼性が高く、比較・改善の指標として使われます。
他の回帰関連関数と組み合わせて、より高度な分析も可能です。

9. 対応バージョン

STEYX関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用可能です。