PRICEMAT関数 – 償還日に利子を支払う債券の額面100に対する価格を計算する関数
1. 使い方と活用例
PRICEMAT関数は、利息が償還日に一括支払われる割引債において、額面100あたりの現在価格を計算する関数です。
利払日がなく、満期日(償還日)にのみ利息を受け取る債券の価格評価に使われます。
発行日・利払基準日・満期日といった期間情報と利率・利回りをもとに計算します。
2. 基本の書式
=PRICEMAT(発行日, 償還日, 利払基準日, 利率, 利回り, [基準])
3. 引数の説明
- 発行日 – 債券の発行日(証券が発行された日)を日付で指定します。
- 償還日 – 債券の満期日(償還される日)を日付で指定します。
- 利払基準日 – 利率計算の基準となる起算日を日付で指定します(通常は発行日と同じまたは直前の利払日)。
- 利率 – 債券の年利率(クーポンレート)を実数で指定します(例:5% → 0.05)。
- 利回り – 投資家の期待収益率(市場利回り)を実数で指定します。
- 基準(省略可)– 日数計算の方式を指定します。
- 0 = 30日/360日(米国式、既定)
- 1 = 実際/実際
- 2 = 実際/360日
- 3 = 実際/365日
- 4 = 30日/360日(ヨーロッパ式)
4. 使用シーン
- 利付ではなく、満期一括償還型の割引債の価格評価
- 短期国債やディスカウント債の利回りから価格を逆算
- 発行直後または償還直前の債券価値を定量的に分析したいとき
5. 応用のポイント
PRICEMAT関数は、利払いが満期時に一度だけある債券(単利型)に適しています。
債券の価格は、利率が高く利回りが低いほど高くなり、利率が低く利回りが高いほど安くなります。
日数基準(基準)を正しく設定することで、より精度の高い評価が可能です。
6. 具体例とその解説
=PRICEMAT(DATE(2025,4,1), DATE(2026,4,1), DATE(2025,4,1), 0.05, 0.045, 0)
この式は、2025年4月1日に発行された年利5%の債券が、2026年4月1日に満期償還されるとき、
市場利回りが4.5%の場合の額面100あたりの債券価格を求めます。
結果はおよそ「100.48」となり、利率が市場利回りを上回るため、価格は額面を上回ります。
7. 関連関数の紹介
- PRICE関数 – 利付債券の価格を計算する関数(通常のクーポン債)
- PRICEDISC関数 – 割引債(無利息債)の価格を計算する関数
- YIELDMAT関数 – PRICEMATと逆に、債券価格から利回りを計算する関数
- YIELD関数 – 利付債の利回りを求める関数
- COUPDAYS関数 – 利払期間中の日数を返す関数
8. まとめ
PRICEMAT関数は、満期に一括で利子を支払う割引債の価格を精密に評価できる金融関数です。
通常のクーポン債とは異なる利払い形式を持つ債券の現在価値を計算したい場面で非常に役立ちます。
用途に応じて、PRICE関数やPRICEDISC関数と使い分けることが重要です。
9. 対応バージョン
PRICEMAT関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Microsoft 365やExcel Onlineでも利用できます。