POISSON.DIST関数 – ポアソン分布に基づく確率を求める関数
1. 使い方と活用例
POISSON.DIST関数は、ある時間・空間内で起こる事象の発生回数が平均的に知られているときに、特定の回数が発生する確率を求めるための関数です。
待ち行列理論、交通量分析、アクセス数の予測など、ランダムに発生するイベントの分析に用いられます。
2. 基本の書式
=POISSON.DIST(x, 平均, 累積)
3. 引数の説明
- x – 発生回数(求めたい確率の対象となる回数)。
- 平均 – 単位時間または単位空間あたりに平均して発生する回数。
- 累積 – 論理値(TRUE または FALSE)で、次のいずれかを指定:
- TRUE:x 以下の発生回数の累積確率を返す(P(X ≦ x))
- FALSE:x 回ちょうどの確率を返す(P(X = x))
4. 使用シーン
- コールセンターで1時間あたりに来る電話の件数の分析
- 工場で一定時間内に起こる機械の故障回数の予測
- Webサイトへのアクセスが平均してどれくらい発生するかの確率予測
5. 応用のポイント
POISSON.DIST関数は、λ(ラムダ)= 平均
を持つポアソン分布に従った確率を返します。
xは整数で、平均より大きくても問題ありません。
累積をTRUEにすれば「その回数以下に収まる確率」が得られ、FALSEにすると「ちょうどその回数」だけ発生する確率が求められます。
6. 具体例とその解説
=POISSON.DIST(3, 2.5, FALSE)
平均2.5回の事象が発生する状況で、ちょうど3回発生する確率を返します。
結果は 約0.2138。
=POISSON.DIST(3, 2.5, TRUE)
同じ条件で、3回以下の発生確率(累積)を求めます。
結果は 約0.7576。
7. 関連関数の紹介
- BINOM.DIST関数 – 二項分布に基づく確率を求める関数
- NORM.DIST関数 – 正規分布に従う確率や密度を求める関数
- EXPON.DIST関数 – 指数分布(ポアソンの時間間隔版)を求める関数
- AVERAGE関数 – 平均を算出する関数(ポアソン分布のλに対応)
8. まとめ
POISSON.DIST関数は、平均的に一定の頻度で発生するランダムな事象の発生確率をモデル化する際に非常に役立ちます。
累積か否かで出力の意味が変わるため、使い方には注意が必要です。
確率モデルの一部として、実務・学術ともに幅広く利用されています。
9. 対応バージョン
POISSON.DIST関数は、Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では、旧関数 POISSON
が用いられていました(非推奨)。