PERCENTILE.INC関数 – 統計

PERCENTILE.INC関数 – 包括的なパーセンタイル値を返す関数


1. 使い方と活用例

PERCENTILE.INC関数は、データセットにおいて指定されたパーセンタイル(百分位)に対応する値を返す関数です。
「包括的(Inclusive)」という名前の通り、最小値(0%)および最大値(100%)も含めた計算が可能です。
統計分析、教育評価、品質管理などでよく使用されます。

2. 基本の書式

=PERCENTILE.INC(array, k)

3. 引数の説明

  • array – 必須。パーセンタイルを求めたい数値データの範囲または配列。
  • k – 必須。求めたいパーセンタイル(0〜1の範囲の数値)。

4. 使用シーン

  • データセットの中で、下位10%、上位25%などに該当する値を抽出したいとき。
  • 得点の分布に応じて、偏差値や相対評価を行いたいとき。
  • 生産データや検査データのパーセンタイルに基づく評価をしたい場合。

5. 応用のポイント

k の値には 0~1 の小数を指定します(例:0.9は90パーセンタイル=上位10%地点)。
k = 0 で最小値、k = 1 で最大値を取得できます。
データ数が2つ以上あれば使用可能で、小規模データでも適用できます。
PERCENTILE関数(旧関数)と同様の結果ですが、Excel 2010以降はこちらが推奨されています。

6. 具体例とその解説

以下のデータが A1:A10 に入力されているとします:
10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100

この中で、90パーセンタイルの値を求めるには次のように入力します。

=PERCENTILE.INC(A1:A10, 0.9)

この式は、「上位10%地点」に位置する値を返します。
結果は 91 になります(線形補間により計算されます)。

7. 関連関数の紹介

  • PERCENTILE.EXC関数 – 排他的なパーセンタイル値(0%および100%を含まない)を返す関数。
  • PERCENTRANK.INC関数 – 指定した値が分布内でどのパーセンタイルに相当するかを返す関数。
  • QUARTILE.INC関数 – 四分位数(25%、50%、75%など)を返す関数。
  • MEDIAN関数 – データの中央値(50%パーセンタイル)を返す関数。
  • PERCENTILE関数 – PERCENTILE.INCの旧バージョン(Excel 2010以降は非推奨)。

8. まとめ

PERCENTILE.INC関数は、指定されたパーセンタイルの位置に該当する「値」を返す関数です。
データ分析において、極端な値も含めて包括的に分布を把握したいときに非常に有効です。
PERCENTILE.EXC関数と使い分けることで、分析目的に応じた柔軟な統計処理が可能になります。

9. 対応バージョン

PERCENTILE.INC関数は、Excel 2010以降で使用可能です。
Microsoft 365、Excel Onlineでも利用できます。
Excel 2007以前では使用できません(代わりにPERCENTILE関数を使用)。