NORM.DIST関数 – 正規分布に基づく確率や確率密度を求める関数
1. 使い方と活用例
NORM.DIST関数は、指定された平均と標準偏差に基づく正規分布の累積確率(または確率密度)を求める関数です。
統計学や品質管理などで、ある値が正規分布の中でどの位置にあるかを判断するために使用されます。
累積分布関数(CDF)または確率密度関数(PDF)としての計算が可能です。
2. 基本の書式
=NORM.DIST(x, mean, standard_dev, cumulative)
3. 引数の説明
- x – 必須。評価したい値を指定します。
- mean – 必須。正規分布の平均(μ)を指定します。
- standard_dev – 必須。正規分布の標準偏差(σ)を指定します。
- cumulative – 必須。累積分布関数を使うかどうかを指定します。
- TRUE:累積確率を返します(x以下となる確率)
- FALSE:確率密度(PDF)を返します
4. 使用シーン
- ある製品が許容誤差内に収まる確率を求めたいとき。
- 標準テストのスコア分布における相対的な位置を分析したいとき。
- 統計モデルで正規分布に基づいた予測や検定を行う場合。
5. 応用のポイント
NORM.DIST関数は「累積(TRUE)」と「密度(FALSE)」の2通りで使い方が異なります。
累積分布を求めたい場合は TRUE を、単なる確率密度の値を知りたい場合は FALSE を使用します。
標準偏差が0または負の値だとエラーになります。
標準正規分布(平均0、標準偏差1)を扱いたい場合は、NORM.S.DIST関数の使用が便利です。
6. 具体例とその解説
平均70、標準偏差10の正規分布において、「x = 80」が現れる確率(80以下となる確率)を求めるには、次のように入力します。
=NORM.DIST(80, 70, 10, TRUE)
この結果は 0.8413
となり、「x = 80」が全体の上位約15.87%に位置していることを意味します(下位84.13%)。
一方、80における確率密度(PDF)を求める場合は次のようにします。
=NORM.DIST(80, 70, 10, FALSE)
この結果は 0.0242
(概算)となり、80という値がどれくらい発生しやすいか(密度)を表します。
7. 関連関数の紹介
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布(平均0、標準偏差1)の確率を求める関数。
- NORM.INV関数 – 指定した確率に対応する正規分布上の値を求める関数。
- NORM.S.INV関数 – 標準正規分布における逆関数(Zスコア)を求める関数。
- STANDARDIZE関数 – 値をZスコアに標準化する関数。
- T.DIST関数 – t分布の確率を求める関数。
8. まとめ
NORM.DIST関数は、正規分布に基づく確率や密度を計算するための重要な統計関数です。
品質管理、教育評価、統計モデリングなど多くの分野で活用されており、
累積確率と確率密度を切り替えて使用できる柔軟性があります。
9. 対応バージョン
NORM.DIST関数は、Excel 2010以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 2007以前では、旧関数の NORMDIST が同等の役割を果たします(Excel 2010以降では非推奨)。