LOGEST関数 – 指数的な回帰直線を求める関数
1. 使い方と活用例
LOGEST関数は、与えられたデータに対して「y = b * m^x」という形の指数関数的な回帰式を算出するための関数です。
これは、データの傾向が指数的に変化する場合に最も適した回帰分析を行うもので、対数変換後の線形回帰と同等の処理をExcelで簡単に実行できます。
複数の変数を用いた重回帰分析も可能で、統計解析や予測モデルの構築に使われます。
2. 基本の書式
=LOGEST(既知のy, [既知のx], [定数], [統計])
3. 引数の説明
- 既知のy – yに対応する既知の値の配列または範囲。必須。
- 既知のx(省略可能)– xに対応する既知の値の範囲。省略すると{1,2,3,…}が使用されます。
- 定数(省略可能)– y切片(b)を1に固定するかどうかを指定します。
TRUE
または省略時はbを自動的に求め、FALSE
にするとb=1として計算します。 - 統計(省略可能)–
TRUE
にすると回帰統計情報も返します。省略またはFALSE
の場合は係数だけが返されます。
4. 使用シーン
- 人口増加や資産価値の成長など、指数的な変化を伴うデータの分析
- ウイルス感染者数の増加など、時間に対して急激に増加するデータのモデリング
- 売上やアクセス数の指数的成長の予測
5. 応用のポイント
LOGEST関数は配列数式として入力する必要があるため、Ctrl + Shift + Enterで確定する必要があります(旧バージョンの場合)。
Excel 365やExcel 2021以降では、スピル機能により通常のEnterキーで自動的に複数セルへ展開されます。
複数のx変数を用いた場合も自動的に指数回帰が行われるため、多変量モデルを組む際にも便利です。
6. 具体例とその解説
以下のようなyのデータがあるとします。
A列(x) B列(y)
1 2
2 4
3 8
4 16
=LOGEST(B2:B5, A2:A5)
この式は、xが1から4、yが2、4、8、16であるデータに対して、y = b * m^x
の形の指数回帰モデルを作成します。
この場合、ほぼy = 2^x
に近い結果(m ≒ 2)が得られるはずです。
7. 関連関数の紹介
- LINEST関数 – 線形回帰の係数を返す関数
- TREND関数 – 回帰直線に基づいて予測値を返す関数
- GROWTH関数 – 指数関数に基づいた予測値を返す関数
- FORECAST関数 – 単回帰を使った予測を行う関数
8. まとめ
LOGEST関数は、指数的なデータ傾向を把握するための強力な回帰分析ツールです。
線形回帰では対応できない急激な増減をモデル化でき、Excelで簡単に統計解析を行いたい場合に非常に有用です。
統計オプションを有効にすれば、決定係数や標準誤差などの情報も取得できます。
9. 対応バージョン
LOGEST関数は、Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365や2021以降では配列数式の自動展開(スピル)に対応しており、より使いやすくなっています。