IMDIV関数 – エンジニアリング

IMDIV関数 – 複素数同士の除算(割り算)を行う関数


1. 使い方と活用例

IMDIV関数は、2つの複素数の除算(割り算)を実行し、結果を複素数として返す関数です。
複素数の割り算は、共役複素数を使った分母の有理化が必要ですが、IMDIV関数を使えば簡単に求めることができます。
電気回路のインピーダンス計算や信号処理、工学的な数式展開などに便利です。

2. 基本の書式

=IMDIV(inumber1, inumber2)

3. 引数の説明

  • inumber1 – 必須。割られる側(被除数)の複素数。文字列形式で指定(例:”4+3i”)。
  • inumber2 – 必須。割る側(除数)の複素数。文字列形式で指定(例:”1-i”)。

4. 使用シーン

  • 複素インピーダンスの比を求めたいとき(Z1 ÷ Z2)。
  • 複素ベクトルのスカラー変換や正規化を行いたい場合。
  • 複素演算において、分数形の式を簡略化したいとき。

5. 応用のポイント

複素数は必ず文字列形式(”a+bi” または “a+bj”)で指定する必要があります。
分母がゼロになると #DIV/0! エラーになりますので注意が必要です。
Excelが内部で複素共役を使って正しく計算を行ってくれるため、数式を自分で展開する必要はありません。

6. 具体例とその解説

以下の式では、4+3i1-i で割ります。

=IMDIV("4+3i", "1-i")

この式の結果は 0.5+3.5i になります。

数式で展開すると以下の通りです。

(4+3i) ÷ (1−i) = ((4+3i)(1+i)) ÷ ((1−i)(1+i)) = (4+4i+3i+3i²)/2 = (1+7i)/2 = 0.5+3.5i

7. 関連関数の紹介

  • IMPRODUCT関数 – 複素数の積を求める関数
  • IMSUM関数 – 複素数の和を求める関数
  • IMSUB – 複素数の差を求める関数
  • IMCONJUGATE関数 – 複素共役を返す関数(手計算で除算したいときに使用)
  • COMPLEX関数 – 実数と虚数から複素数を生成する関数

8. まとめ

IMDIV関数は、複素数の除算を手軽に正確に実行できる強力な関数です。
複素数同士の割り算を手計算せずに実装でき、電気回路、信号処理、数学解析などさまざまな分野で活用できます。
関連関数と組み合わせることで、複雑な複素演算も効率的に行えます。

9. 対応バージョン

Excel 2003以降で使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも完全対応しています。