IMARGUMENT関数 – エンジニアリング

IMARGUMENT関数 – 複素数の偏角(位相角)をラジアンで返す関数


1. 使い方と活用例

IMARGUMENT関数は、指定した複素数の偏角(argument)、すなわち複素平面における角度(位相)をラジアン単位で返す関数です。
偏角とは、複素数が原点からどの方向を向いているかを示す角度であり、信号処理や交流解析、ベクトル演算などに用いられます。

2. 基本の書式

=IMARGUMENT(inumber)

3. 引数の説明

  • inumber – 必須。偏角を求めたい複素数。
    文字列形式(例:”3+4i”、”2-2j”、”5″ など)で指定。

4. 使用シーン

  • 複素ベクトルの角度を求めたい場合(極形式への変換)。
  • AC回路のインピーダンスの位相解析に使用する場合。
  • 信号の位相差や位相遅れの計算に利用する場合。

5. 応用のポイント

IMARGUMENT関数は、複素数 z = x + yi に対して、atan2(y, x) に基づく偏角(位相)を返します。
値は-π ~ π の範囲のラジアンで出力されます。
ラジアンを角度(度)に変換したい場合は、DEGREES関数と組み合わせて使用します。

=DEGREES(IMARGUMENT("3+4i"))

6. 具体例とその解説

次の式では、複素数 “1+i” の偏角を求めます。

=IMARGUMENT("1+i")

結果は 0.785398163(ラジアン)で、これは約45度に相当します(極形式で第1象限の角度)。

虚数のみ(例:”0+1i”)の場合

=IMARGUMENT("0+1i")

結果は 1.570796327(π/2)となり、これは90度を示します。

7. 関連関数の紹介

8. まとめ

IMARGUMENT関数は、複素数が複素平面上でどの方向に向いているかを表す「偏角」をラジアンで返す関数です。
工学系の解析や複素関数の極形式への変換において重要な役割を果たします。
DEGREES関数と併用することで、より直感的な角度表示も可能です。

9. 対応バージョン

Excel 2003以降で使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。