IMABS関数 – 複素数の絶対値(モジュラス)を返す関数
1. 使い方と活用例
IMABS関数は、指定した複素数の絶対値(モジュラス)を実数として返す関数です。
絶対値とは、複素数を複素平面上の点と見たときの原点からの距離に相当します。
電気回路解析やベクトル演算、物理・工学計算など、複素数の大きさを評価する場面でよく使われます。
2. 基本の書式
=IMABS(inumber)
3. 引数の説明
- inumber – 必須。絶対値を求めたい複素数。
文字列形式で指定(例:”3+4i”、”2-5j”、”7″ など)。
4. 使用シーン
- 交流回路のインピーダンスの大きさを求めたい場合。
- 複素数をベクトルとして扱い、その長さ(ノルム)を計算したい場合。
- 数学・物理の演習問題で、複素数の基本性質を調べたい場合。
5. 応用のポイント
IMABS関数は、複素数 a + bi
の絶対値を、√(a² + b²)
の形式で計算します。
実数のみの複素数(例:”5″)では、その数値の絶対値を返します(つまり ABS
関数と同等)。
入力の虚数単位には “i” または “j” のいずれも使用可能です。
6. 具体例とその解説
複素数 "3+4i"
の絶対値を求めるには、次の式を使います。
=IMABS("3+4i")
結果は 5
になります(√(3² + 4²) = √25 = 5
)。
虚数だけの複素数(例:”0-6i”)では
=IMABS("0-6i")
結果は 6
です。
7. 関連関数の紹介
- IMREAL関数 – 複素数の実部を返す関数
- IMAGINARY関数 – 複素数の虚部を返す関数
- IMARGUMENT関数 – 複素数の偏角(角度)をラジアンで返す関数
- IMCONJUGATE関数 – 複素数の共役を返す関数
- COMPLEX関数 – 実数部と虚数部から複素数を作成する関数
8. まとめ
IMABS関数は、複素数の絶対値(ベクトル長)を求める基本関数で、複素数演算の出発点とも言えます。
複素平面上での距離や大きさの比較、信号強度やインピーダンス解析など、幅広い実務・学習シーンで活用されます。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも完全対応しています。