FORECAST.ETS関数 – 時系列に基づいて将来の値を予測する関数(指数平滑法)
1. 使い方と活用例
FORECAST.ETS関数は、過去の時系列データに基づいて、指数平滑法(ETS: Exponential Triple Smoothing)を用いて将来の値を予測する関数です。
季節性やトレンドを加味した高度な予測が可能で、売上や需要の予測、在庫管理、マーケティングなどの分野で活用されます。
2. 基本の書式
=FORECAST.ETS(target_date, values, timeline, [seasonality], [data_completion], [aggregation])
3. 引数の説明
- target_date – 予測したい日付や期間を指定します(数値形式の日付)
- values – 既知のy値(数値データの範囲)
- timeline – 各y値に対応する時系列のx値(通常は日付)
- seasonality(省略可能)– 季節性を指定します。0でなし、1で自動検出、整数で周期の長さ(例:12なら12か月)
- data_completion(省略可能)– データの欠損補完方法を指定します。TRUEで線形補完、FALSEでゼロを補完
- aggregation(省略可能)– 同一タイムスタンプのデータを集約する方法を指定します(1=平均、2=合計など)
4. 使用シーン
- 過去の売上データから将来の売上を月別に予測する
- 需要の変動パターンを分析し、季節性を加味した見積を行う
- 定期的な取引や在庫の変動に対応した将来の動向予測
5. 応用のポイント
FORECAST.ETS関数は、単なる線形予測ではなく、トレンドや季節性を考慮した多変数的な予測が可能です。
特にseasonality引数を適切に設定することで、周期的なパターンに合った予測が行えます。
Excelの「データ分析」機能やグラフと併用することで、より視覚的で説得力のある予測が可能になります。
6. 具体例とその解説
=FORECAST.ETS(DATE(2025,5,1), B2:B13, A2:A13)
この式では、A2:A13に時系列の日付データ、B2:B13に対応する売上などの数値データがあると仮定します。
2025年5月1日時点での予測値を、自動で季節性やトレンドを考慮して計算します。
=FORECAST.ETS(DATE(2025,5,1), B2:B13, A2:A13, 12, TRUE, 1)
この式では、季節性を12(12か月周期)に固定し、欠損データを線形補完、同じ日付のデータは平均で集約して予測を行います。
7. 関連関数の紹介
- FORECAST関数 – 線形回帰に基づいて値を予測する関数
- FORECAST.LINEAR関数 – FORECAST関数の新名称。線形予測を行う
- FORECAST.ETS.SEASONALITY関数 – 自動で検出された季節性の周期を返す関数
- FORECAST.ETS.CONFINT関数 – 予測の信頼区間を返す関数
- FORECAST.ETS.STAT関数 – 予測モデルの統計情報(トレンドなど)を取得する関数
8. まとめ
FORECAST.ETS関数は、時系列データに対して強力な予測を行うことができる関数です。
特に季節性のあるビジネスデータにおいて、将来のトレンドを見極めるための有力なツールとなります。
必要に応じて他のETS関連関数と組み合わせて、精度の高い分析を行いましょう。
9. 対応バージョン
FORECAST.ETS関数は、Excel 2016以降で使用可能です。
それ以前のバージョンでは利用できないため、代替としてFORECAST.LINEAR関数などの使用を検討してください。