F.INV.RT関数 – F分布の右側累積確率に基づく逆関数(右片側検定用の分位点)
1. 使い方と活用例
F.INV.RT関数は、F分布における右側の累積確率(上側確率)に対応するF値(分位点)を返す関数です。
これは特に右片側F検定において、有意水準に対応する臨界値を求める場面で使用されます。
2. 基本の書式
=F.INV.RT(probability, deg_freedom1, deg_freedom2)
3. 引数の説明
- probability – 必須。右側の累積確率(0〜1の間の値、通常は有意水準)。
- deg_freedom1 – 必須。分子の自由度(正の整数)。
- deg_freedom2 – 必須。分母の自由度(正の整数)。
4. 使用シーン
- F検定において、ある有意水準(例:0.05)に対応する臨界F値を求めたいとき。
- 右側検定において、帰無仮説を棄却するための閾値を設定したい場合。
- 分散分析(ANOVA)や回帰モデル評価時に、F分布の上位パーセンタイル値を取得したいとき。
5. 応用のポイント
この関数は FINV関数の後継であり、Excel 2010以降では F.INV.RT が推奨されています。
右側確率(例:0.05)は、累積確率1から差し引かれる値です。
両側検定では、片側分の有意水準(α/2)を指定して対応するF値を求める必要があります。
6. 具体例とその解説
有意水準5%(右側確率0.05)、分子の自由度5、分母の自由度10におけるF値を求めるには
=F.INV.RT(0.05, 5, 10)
結果は 3.3258
となり、これは検定統計量がこの値以上になると帰無仮説を棄却する境界値(臨界値)です。
7. 関連関数の紹介
- F.INV関数 – 左側の累積確率に基づくF分布の逆関数
- F.DIST関数 – F分布の累積確率または確率密度を返す関数
- F.TEST関数 – 2群間の分散差の検定を行う関数
- CHISQ.INV.RT関数 – カイ二乗分布の右側逆関数
- T.INV.2T関数 – t分布の両側検定における逆関数
8. まとめ
F.INV.RT関数は、右片側F検定で臨界値を求めるための標準関数です。
Excel 2010以降では FINV 関数の代わりとして使用され、分散分析や統計モデリングの精度管理に重要な役割を果たします。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。
Excel 2007以前では FINV関数 を使用してください(非推奨)。