FDIST関数 – F分布に基づく確率を返す関数
1. 使い方と活用例
FDIST関数は、指定されたF値に基づき、F分布の片側確率(右側)を返します。
これは、2つの標本の分散の差を検定するために使用されるF検定において、帰無仮説の棄却に関わる確率を求める際に利用されます。
2. 基本の書式
=FDIST(x, 自由度1, 自由度2)
3. 引数の説明
- x – 検定統計量としてのF値(0以上の数値)を指定します。
- 自由度1 – 分子側の自由度(第1標本の自由度)を指定します。
- 自由度2 – 分母側の自由度(第2標本の自由度)を指定します。
4. 使用シーン
- 2つの標本の分散が等しいかどうかを検定したい場合
- F検定におけるp値の計算に利用する場合
- 回帰分析における分散分析(ANOVA)の統計的評価
5. 応用のポイント
FDIST関数は片側検定のみを行う関数であり、両側検定が必要な場合には値を2倍するなどの調整が必要です。
Excel 2010以降では、FDIST関数は非推奨となっており、代替として F.DIST関数
の使用が推奨されています。
6. 具体例とその解説
=FDIST(3.5, 5, 10)
この式では、F値が3.5、自由度1が5、自由度2が10のときのF分布の片側確率を返します。
これは、帰無仮説(分散が等しい)が正しいと仮定したときに、3.5以上のF値が出る確率(p値)を意味します。
7. 関連関数の紹介
- F.DIST関数 – F分布に基づく確率を返す新しい関数(累積/密度を選択可能)
- F.TEST関数 – 2つの標本の分散が等しいかを検定する関数
- CHISQ.DIST関数 – カイ二乗分布に基づく確率を返す関数
- T.DIST関数 – t分布に基づく確率を返す関数
8. まとめ
FDIST関数は、F分布を利用して分散の比較やモデルの有意性を評価する際に使われます。
ただし、Excel 2010以降では、より高精度かつ柔軟な F.DIST関数
に置き換えることが推奨されています。
統計分析では、使用する関数の適切な選択が重要です。
9. 対応バージョン
FDIST関数は、Excel 2007およびそれ以前では標準で使用可能です。
Excel 2010以降ではFDIST関数は非推奨とされており、代替として F.DIST関数
を使用することが推奨されています。