F.DIST関数 – F分布における確率密度または累積確率を求める関数
1. 使い方と活用例
F.DIST関数は、指定されたF値に基づきF分布の確率密度関数または累積分布関数の値を求める関数です。
分散分析（ANOVA）やF検定などにおいて、統計的な判断材料として使用されます。
右片側確率（p値）を求めたい場合は、通常 cumulative=TRUE を指定します。
2. 基本の書式
=F.DIST(x, deg_freedom1, deg_freedom2, cumulative)3. 引数の説明
- x – 評価対象のF値（0以上の数値）。
- deg_freedom1 – 分子の自由度（正の整数）。
- deg_freedom2 – 分母の自由度（正の整数）。
- cumulative – 論理値。TRUEを指定すると累積分布関数、FALSEを指定すると確率密度関数を返します。
4. 使用シーン
- F検定におけるF値に対応する確率の計算
- ANOVA分析において、有意性を判断するための累積確率を取得したいとき
- F分布の密度グラフを描画するための確率値を取得したいとき（cumulative=FALSE）
5. 応用のポイント
cumulativeをTRUEにすると、F値以下となる確率（左片側累積）を返します。
F検定では一般的に右片側のp値が必要となるため、1 - F.DIST(..., TRUE) とすることで右片側確率を求められます。
また、F.DIST関数はF.DIST.RT関数の下位互換的な使い方も可能です。
6. 具体例とその解説
=F.DIST(3.5, 5, 10, TRUE)
この式は、F値3.5、分子の自由度5、分母の自由度10における左片側累積確率を求めます。
結果はおよそ 0.952 となり、1 - 0.952 = 0.048 が右片側のp値となります。
=F.DIST(3.5, 5, 10, FALSE)
この式は、F値3.5の点におけるF分布の確率密度（関数の高さ）を返します。
グラフ描画や理論的分布の形状分析に活用されます。
7. 関連関数の紹介
- F.DIST.RT関数 – F分布の右片側累積確率（p値）を直接返す関数
- F.INV関数 – 指定した左片側累積確率に対応するF値（臨界値）を求める関数
- F.INV.RT関数 – 右片側の累積確率に対応するF値を求める関数
- F.TEST関数 – 2つの標本の分散の違いを検定する関数
8. まとめ
F.DIST関数は、F分布に基づく累積確率や確率密度を求める柔軟な関数であり、分散の比較やANOVAの結果解釈に不可欠です。
右片側確率を得る場合は「1 − F.DIST(…, TRUE)」とする必要がある点に注意してください。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では FDIST関数が同様の機能を提供していましたが、現在は非推奨です。