ERFC.PRECISE関数 – 相補誤差関数(補誤差関数)を高精度で計算する関数
1. 使い方と活用例
ERFC.PRECISE関数は、指定された数値に対する**相補誤差関数(Complementary Error Function)**の値を返します。
統計解析や物理学、工学の分野で使用され、特に正規分布の計算や誤差評価に用いられます。
ERFC.PRECISE関数は、ERFC関数と同じ動作をしますが、明確に高精度を意識して名前が定義されています。
2. 基本の書式
=ERFC.PRECISE(x)
3. 引数の説明
- x – 相補誤差関数を計算する対象の数値を指定します。正の数・負の数のいずれも指定可能です。
4. 使用シーン
- 正規分布の両側または片側確率の計算
- 信号処理や通信工学におけるビット誤り率(BER)推定
- 物理学や統計的推定における誤差計算
5. 応用のポイント
ERFC.PRECISE関数は、正規分布関数との関係が深く、次の式に基づいています。
ERFC.PRECISE(x) = 1 - ERF.PRECISE(x)
数値が大きくなるほど関数値は0に近づき、数値が小さくなるほど1に近づきます。
Excel 2010以前ではERFC関数を使用する必要がありますが、ERFC.PRECISEはExcel 2010以降で追加されたより明確な仕様の関数です。
6. 具体例とその解説
=ERFC.PRECISE(1)
この式は、x=1 における相補誤差関数の値を返します。
結果はおおよそ 0.157299 となり、標準正規分布に基づく両側確率の片側分に対応します。
=ERFC.PRECISE(-1)
xが負の数でも計算可能で、この式では約1.842701が返されます。
相補誤差関数の定義により、負の値を指定した場合は1より大きくなることもあります。
7. 関連関数の紹介
- ERF.PRECISE関数 – 指定した数値に対する誤差関数を返す関数
- ERF関数 – 誤差関数を返す関数(上限・下限指定可能)
- ERFC関数 – ERFC.PRECISEと同様に相補誤差関数を返す関数(旧関数)
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の確率密度または累積分布を返す関数
8. まとめ
ERFC.PRECISE関数は、統計学や理工系の分野で使われる相補誤差関数の値を高精度で返す関数です。
ERFC関数の後継として設計されており、より明確で信頼性の高い計算が求められる場面に最適です。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では、代わりにERFC関数を使用する必要があります。