COVAR関数 – 互換性

COVAR関数 – 2つのデータ系列の共分散を求める関数


1. 使い方と活用例

COVAR関数は、2つのデータ系列の間の母集団共分散を計算する関数です。
これは、変数同士がどのように連動して変動するかを示す指標で、正の値は同方向の変動、負の値は逆方向の変動を表します。
この関数は現在では非推奨とされており、COVARIANCE.P関数が後継関数です。

2. 基本の書式

=COVAR(配列1, 配列2)

3. 引数の説明

  • 配列1 – 最初のデータ系列(数値のみ)。
  • 配列2 – 2番目のデータ系列。配列1と同じデータ数である必要があります。

4. 使用シーン

  • 売上と広告費など、2変数の動きの関係性を測りたいとき
  • 統計分析や回帰分析の準備段階で、データ間の共変動を確認したいとき

5. 応用のポイント

COVAR関数は、Excel 2010までは共分散を求める標準的な関数でしたが、母集団を対象とするにもかかわらず関数名に「P」などの明記がなかったため、
後継として、より明確な命名の COVARIANCE.P関数(母集団) および COVARIANCE.S関数(標本) が導入されました。
そのため、COVAR関数は下位互換目的でのみ使用が許可されており、新しいブックでは後継関数を使うべきです。

6. 具体例とその解説

=COVAR(A2:A6, B2:B6)

以下のようなデータがあるとします。

売上 (A列) 広告費 (B列)
100 20
120 25
130 30
150 35
170 40

この式は、売上と広告費の母集団共分散を計算し、どの程度連動しているかを数値で示します。
正の値であれば、両者が同方向に変動している傾向があると解釈できます。

7. 関連関数の紹介

  • COVARIANCE.P関数 – COVAR関数の後継。母集団共分散を求める関数
  • COVARIANCE.S関数 – 標本共分散を求める関数
  • CORREL関数 – 相関係数(-1〜1)を返す関数
  • VAR.P関数 – 母集団の分散を求める関数

8. まとめ

COVAR関数は、Excel 2010以前のバージョンで用いられていた母集団共分散を求める旧関数です。
Excel 2010以降では非推奨とされ、COVARIANCE.P関数または COVARIANCE.S関数 の使用が推奨されます。
古いブックとの互換性を保つためには利用可能ですが、新しい数式設計には後継関数を選びましょう。

9. 対応バージョン

COVAR関数は、Excel 2003〜2007で正式に使用されていました。
Excel 2010以降でも旧関数として利用可能ですが非推奨とされており、COVARIANCE.P関数への移行が推奨されています。