CHISQ.INV.RT関数 – 右片側カイ二乗分布の逆関数(臨界値)を求める関数
1. 使い方と活用例
CHISQ.INV.RT関数は、右片側カイ二乗分布の累積確率に対応する臨界値(逆累積確率)を求める関数です。
主に統計的仮説検定(特に適合度検定や分散分析など)で、有意水準に対応するカイ二乗値を算出する際に使用されます。
2. 基本の書式
=CHISQ.INV.RT(probability, degrees_freedom)
3. 引数の説明
- probability – 右片側の累積確率。有意水準(α)などとして、0より大きく1未満の値を指定します。
- degrees_freedom – 自由度。通常はカテゴリ数−1などで定義される正の整数です。
4. 使用シーン
- カイ二乗適合度検定における臨界値の算出
- 自由度と有意水準に基づいた判定基準の設定
- 実験データが理論値にどの程度適合しているかを評価したいとき
5. 応用のポイント
CHISQ.INV.RT関数は、CHISQ.DIST.RT関数の逆関数として機能します。
たとえば、p値が0.05のときの臨界値を知りたい場合に、この関数で求めることができます。
自由度を正しく指定することが、統計検定の精度に直結します。
6. 具体例とその解説
=CHISQ.INV.RT(0.05, 4)
この式は、自由度4の右片側カイ二乗分布において、累積確率0.95に対応する臨界値を求めます。
結果は約 9.488 であり、検定統計量がこれを超えた場合、有意水準5%で帰無仮説が棄却されます。
=CHISQ.INV.RT(0.01, 10)
この式では、自由度10で有意水準1%(累積確率0.99)に対応するカイ二乗臨界値を求めます。
結果は約 23.209 で、検定の厳しさが増す(ハードルが高くなる)ことを意味します。
7. 関連関数の紹介
- CHISQ.DIST.RT関数 – カイ二乗分布の右片側累積確率を求める関数
- CHISQ.INV関数 – 左片側カイ二乗分布の逆関数
- CHISQ.TEST関数 – 実測値と期待値のカイ二乗検定を行う関数
- T.INV.2T関数 – 両側t検定における臨界値を返す関数
8. まとめ
CHISQ.INV.RT関数は、右片側のカイ二乗分布に基づいた臨界値を求めるために使われる重要な関数です。
仮説検定の判断基準として臨界値を使う場面では欠かせない存在であり、自由度と有意水準の正確な設定が求められます。
統計的な裏付けのある意思決定をサポートする上で有用です。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では、CHIDIST関数およびCRITCHISQ関数などが使用されていましたが、現在は非推奨となっています。