CHISQ.DIST関数 – カイ二乗分布の累積確率または確率密度を返す関数
1. 使い方と活用例
CHISQ.DIST関数は、指定されたカイ二乗値と自由度に基づいて、カイ二乗分布の累積確率または確率密度を返す関数です。
確率分布の下側(左裾)での確率や、統計的検定における分布の確認などに使用されます。
2. 基本の書式
=CHISQ.DIST(値, 自由度, 累積)
3. 引数の説明
- 値 – カイ二乗統計量(0以上)を指定します。
- 自由度 – カイ二乗分布の自由度(1以上の整数)を指定します。
- 累積 – 累積確率を返すか、確率密度を返すかを指定します。
TRUE
:累積分布関数(CDF)として、左側の累積確率を返します。FALSE
:確率密度関数(PDF)として、与えられた値の密度を返します。
4. 使用シーン
- 統計検定で得られたカイ二乗値に対する累積確率を求めたいとき
- カイ二乗分布の形状をグラフで確認したいとき
- カイ二乗分布の理論的な分布を検証したいとき
5. 応用のポイント
CHISQ.DIST関数は、累積かどうかをTRUE/FALSEで切り替えできる点がポイントです。
TRUE
を指定すれば観測値以下の確率(左側)、FALSE
を指定すればその点での確率密度(グラフの高さ)を返します。
右側の累積確率(右裾)を求めたい場合は、CHISQ.DIST.RT関数を使います。
6. 具体例とその解説
=CHISQ.DIST(5, 3, TRUE)
自由度3のカイ二乗分布における「5以下」の累積確率(左側)を返します。
結果は 約0.916 となり、5という値がこの分布において95%に近い位置であることを示します。
=CHISQ.DIST(5, 3, FALSE)
同じ条件で、値5の確率密度(グラフの高さ)を返します。
結果は 約0.0337 などとなります。
7. 関連関数の紹介
- CHISQ.DIST.RT関数 – カイ二乗分布の右側(右裾)累積確率を返す関数
- CHISQ.INV関数 – 指定された累積確率に対応するカイ二乗値(左側)を返す関数
- CHISQ.INV.RT関数 – 右側確率に対応するカイ二乗値を返す関数
- CHISQ.TEST関数 – 観測値と期待値に基づくカイ二乗検定を行う関数
8. まとめ
CHISQ.DIST関数は、カイ二乗分布における累積確率(または確率密度)を求めるための基本的な関数です。
左側確率が必要な場合に使い、右側確率が必要な場合には CHISQ.DIST.RT関数 を使うと明確です。
統計分析や検定の可視化において重要な役割を果たします。
9. 対応バージョン
CHISQ.DIST関数は、Excel 2010以降のバージョンで使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelにも対応しています。