AMORLINC関数 – フランス式会計償却による減価償却費を計算する関数
1. 使い方と活用例
AMORLINC関数は、資産の購入価格や耐用年数などに基づいて、フランス式会計基準に準拠した定額法(直線法)による減価償却費を計算する関数です。
この関数では、償却費は購入日から計算され、期ごとの償却を柔軟に扱えます。
2. 基本の書式
=AMORLINC(原価, 購入日, 最終期間, 耐用年数, 開始期, [勘定方法])
3. 引数の説明
- 原価 – 資産の取得価格。
- 購入日 – 資産を購入した日付。
- 最終期間 – 償却する最終期間の日付。
- 耐用年数 – 資産の使用可能期間(年単位)。
- 開始期 – 償却を開始する期(通常は0)。
- 勘定方法(省略可)– 償却費の計算方式を制御するオプション。0または1を指定。
- 0:償却費の最初の期を日割り計算
- 1:各期間の償却費を一定に保つ(最初の期をフルに扱う)
4. 使用シーン
- フランスや国際会計基準に基づいた減価償却費の計算
- 資産の取得日から柔軟に償却を開始したい場合
- 期ごとの償却負担額を明示的に求めたいとき
5. 応用のポイント
AMORLINC関数は、日付を基準にして期を管理するため、購入日
と最終期間
を正確に指定することが重要です。
同様に、会計期を分けて扱いたい場合は開始期の指定を活用することで、各年度ごとの償却費を分けて管理できます。
[勘定方法]
を指定しない場合は既定値0が使用され、最初の期が日割り計算されます。
6. 具体例とその解説
=AMORLINC(100000, DATE(2023,4,1), DATE(2024,3,31), 5, 0)
この例では、100,000円の資産を2023年4月1日に購入し、2024年3月31日までの1会計年度で償却費を求めます。
耐用年数は5年、開始期は0で、最初の期の償却額(1年間分または日割り)が計算されます。
7. 関連関数の紹介
- AMORDEGRC関数 – フランス式加速度償却を行う関数
- SLN関数 – 定額法で償却費を計算する関数(国際的に一般的)
- DDB関数 – 二重定率法による減価償却費を計算する関数
- SYD関数 – 年数総和法による償却費を求める関数
8. まとめ
AMORLINC関数は、フランス会計基準に準拠した減価償却を行うための関数で、
期単位や償却開始日の調整ができる点が特徴です。
会計処理の国際化が進む中で、より柔軟な償却計算を求める企業や会計士にとって有用な関数です。
9. 対応バージョン
AMORLINC関数は、Excel 2007以降のバージョンで使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelにも対応しています。
Excel 2003以前では使用できません。