ACCRINT関数 – 定期利払い債券の未収利息を計算する関数
1. 使い方と活用例
ACCRINT関数は、利払い期間が定期的に設定されている債券について、発行日から指定された期日までに発生した未収利息を計算します。
定期的な利払いが行われる通常のクーポン債において、決算や取引時点での経過利息を算出する際に活用されます。
2. 基本の書式
=ACCRINT(発行日, 初回利払日, 支払日, 利率, 額面, 頻度, [基準], [計算方法])3. 引数の説明
- 発行日 – 債券が発行された日付を指定します。
- 初回利払日 – 最初の利息支払日を指定します。
- 支払日 – 利息を計算する期日（評価日）を指定します。
- 利率 – 年間利率（年利）を指定します。
- 額面 – 債券の額面金額（パー値）を指定します。
- 頻度 – 年間の利払回数（1=年1回、2=半年ごと、4=四半期ごと）を指定します。
- 基準 – 利息計算に使用する日数計算方式を指定します（省略可能、既定値は0）。
- 計算方法 – TRUEまたはFALSEを指定。TRUE（既定値）は発行日からの利息を累積計算、FALSEは各期間単位での計算に使用されます。
4. 使用シーン
- 通常のクーポン債の利払日前における経過利息の計算
- 債券売買時における買い手と売り手の間での利息調整計算
- 会計処理や税務処理での未収利息の算出
5. 応用のポイント
支払日が利払日の前である必要があります。
「基準」は日数計算のルールで、0=米国式（NASD、30/360）、1=実際/実際、2=実際/360、3=実際/365、4=ヨーロッパ式（30/360）から選択できます。
TRUEを指定すると発行日からの全期間にわたる利息をまとめて計算し、FALSEでは直近の期間のみが計算されます。
6. 具体例とその解説
=ACCRINT(DATE(2024, 1, 1), DATE(2024, 7, 1), DATE(2024, 4, 1), 0.06, 100000, 2)
この式は、2024年1月1日に発行され、初回利払日が2024年7月1日、評価日が2024年4月1日である利率6%の半年払い債券について、発行日から評価日までの未収利息を計算します。
額面が100,000円で年2回払いのため、半年の利息は3,000円、4月1日時点では約1,500円の利息が発生していることになります。
7. 関連関数の紹介
- ACCRINTM関数 – 満期一括利払い債券の未収利息を計算する関数
- YIELD関数 – 債券の利回りを計算する関数
- COUPNCD関数 – 次の利払日を求める関数
- COUPPCD関数 – 直前の利払日を求める関数
- PRICE関数 – 債券の現在価格を計算する関数
8. まとめ
ACCRINT関数は、利息が定期的に支払われる債券に対する未収利息を計算するための標準的な関数です。
会計や投資の現場において、債券の保有期間中の正確な利息計算が求められる際に大いに活用されます。
満期一括型のACCRINTM関数との違いを理解し、用途に応じて正しく選択しましょう。
9. 対応バージョン
ACCRINT関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで利用可能です。