ZTEST関数 – 互換性

ZTEST関数 – Z検定(片側)のP値を返す関数


1. 使い方と活用例

ZTEST関数は、標本の平均が母集団の平均と統計的に異なるかを判断するために使用される関数です。
標準正規分布に基づいたZ検定(片側検定)を行い、P値を返します。
通常、母分散が既知である場合やサンプルサイズが大きい場合に用いられます。

2. 基本の書式

=ZTEST(配列, x, [σ])

3. 引数の説明

  • 配列 – 標本データのセル範囲を指定します。
  • x – 検定対象となる母平均の値を指定します。
  • σ(省略可能) – 母集団の標準偏差を指定します。省略すると、標本の標準偏差が使用されます。

4. 使用シーン

製品の品質管理において、特定の製品群の平均値が目標値と統計的に異なるかどうかを検定したい場合などに活用されます。
例として、ある部品の平均長さが規格通りかどうかを確認する場面で使用されます。

5. 応用のポイント

ZTEST関数は「片側検定」に基づいたP値を返すため、両側検定を行いたい場合には結果を2倍する必要があります。
また、サンプル数が少なく母分散が不明な場合は、T.TEST関数の使用を検討してください。

6. 具体例とその解説

=ZTEST(A1:A30, 50)

この式は、セル範囲A1:A30にある標本データが、母平均50と統計的に異なるかを片側検定で調べるものです。
戻り値はP値であり、この値が非常に小さい(例:0.05未満)場合は、標本平均が母平均50と異なる可能性が高いと判断されます。

7. 関連関数の紹介

  • T.TEST関数 – サンプルが少なく母分散が不明な場合に使うt検定用の関数
  • NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の累積分布関数を返す関数
  • NORM.S.INV関数 – 標準正規分布における逆累積関数を返す関数

8. まとめ

ZTEST関数は、標本平均が母平均と異なるかを統計的に検定するための便利な関数です。
特にサンプル数が大きく、母分散が既知の場合に有効です。
P値をもとに仮説の棄却判断を行うため、統計分析や品質管理など幅広い分野で活用されます。

9. 対応バージョン

ZTEST関数はExcel 2007以降で使用可能です。
それ以前のバージョンではZTEST関数は利用できません。
なお、Z.TESTという新しいバージョンの関数もあり、こちらは関数名がZTESTからZ.TESTに変更されたものであり、互換性に注意が必要です。