Z.TEST関数 – Z検定の片側P値を計算する関数
1. 使い方と活用例
Z.TEST関数は、母平均に関する仮説検定(Z検定)において、指定した観測値が母平均から外れている確率(P値)を片側で求める関数です。
統計分析において、標準偏差が既知である母集団に対して、あるサンプルが統計的に有意かどうかを判定するために使用されます。
2. 基本の書式
=Z.TEST(array, x, [sigma])
3. 引数の説明
- array – サンプルデータの範囲を指定します。平均値の計算に使用されます。
- x – 仮説検定で使用する観測値(検定する平均値)を指定します。
- [sigma] – (省略可能)母集団の標準偏差を指定します。省略すると、サンプルの標本標準偏差を使用します。
4. 使用シーン
- 製品の品質検査で、あるロットの平均が基準を満たしているか検証したいとき
- マーケティングデータの検証において、仮説の正しさを統計的に評価する場合
- あるデータセットが既知の母平均と異なるかどうかを判断したいとき
5. 応用のポイント
Z.TEST関数は**片側検定**のP値を返します。
両側検定のP値が必要な場合は、結果を2倍することで求めることができます(例:=2 * Z.TEST(...)
)。
また、母標準偏差(σ)が既知でない場合は、T.TEST関数の方が適しています。
P値は0に近いほど、観測値が母平均から離れていると判断され、有意差があるとされます。
6. 具体例とその解説
=Z.TEST(A1:A10, 105, 10)
この式では、範囲A1:A10のデータを使って、観測値105が母平均と異なるかを検定します。
母集団の標準偏差が10と既知である前提で、105という観測値が得られる確率(片側P値)を返します。
結果が0.05未満であれば、有意水準5%で「母平均とは異なる」と判断されます。
7. 関連関数の紹介
- T.TEST関数 – 標本の平均値に関する検定(T検定)を行う関数
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布に基づく累積確率や密度を返す関数
- AVERAGE関数 – サンプルの平均値を求める関数
- STDEV.S関数 – 標本の標準偏差を求める関数
8. まとめ
Z.TEST関数は、標準偏差が既知である母集団に対して、サンプルの平均が母平均から有意に異なるかを判断するための統計関数です。
主に片側検定に使われ、P値を簡単に求められるため、仮説検定における有意性の判定に役立ちます。
9. 対応バージョン
Z.TEST関数はExcel 2010以降で使用可能です。
旧バージョンではZTEST関数が同様の機能を提供していましたが、現在はZ.TEST関数の使用が推奨されています。