VAR.P関数 – 母集団全体の分散を求める関数（VARP関数の後継）
1. 使い方と活用例
VAR.P関数は、指定された数値データが母集団全体であると仮定して、その分散を求める統計関数です。
データのばらつきを測定し、全体の傾向や安定性を把握したいときに使用されます。
この関数はVARP関数の後継として導入され、Excel 2010以降で推奨されています。
2. 基本の書式
=VAR.P(number1, [number2], ...)3. 引数の説明
- number1 – 分散を計算する最初の数値またはセル範囲を指定します。
- [number2], … – （省略可能）追加の数値や範囲を指定します。最大254個まで引数を指定可能です。
4. 使用シーン
- 従業員全員の成績データをもとに全体のばらつきを把握したい場合
- 製造された全製品のサイズの分散を調べたい場合
- 母集団データに対してリスクや偏差を評価する場合
5. 応用のポイント
VAR.P関数では、データ全体（母集団）を対象にして分散を計算します。
標本に対する分散を求めたい場合は、VAR.S関数を使う必要があります。
非数値や空白のセルは自動的に無視されますが、TRUEやFALSEなどの論理値は数値として扱われません。
複数の範囲を組み合わせて引数に指定することもできます。
6. 具体例とその解説
=VAR.P(8, 10, 12, 14, 16)
この式では、5つの数値を母集団とみなし、それらの分散を計算します。
まず平均値を求め（この場合12）、各値と平均の差を2乗して合計し、データの個数で割ることで分散が算出されます。
VAR.P関数はこの計算を自動的に行い、ばらつきの度合いを示す数値を返します。
7. 関連関数の紹介
- VAR.S関数 – 標本に基づく分散を求める関数
- VAR関数 – VAR.S関数と同様の機能を持つ旧関数
- VARP関数 – VAR.P関数の旧バージョンで、母集団分散を計算
- STDEV.P関数 – 母集団全体の標準偏差を求める関数
- AVERAGE関数 – 指定した数値の平均値を求める関数
8. まとめ
VAR.P関数は、母集団全体の分散を正確に求めるのに適した関数であり、統計分析において重要な指標を提供します。
VARP関数に代わって導入された現行の関数であり、将来的にもVAR.P関数を使用することが推奨されます。
9. 対応バージョン
VAR.P関数はExcel 2010以降で利用可能です。
Excel 2007以前のバージョンでは使用できないため、互換性を考慮する場合はVARP関数の使用が必要となることがあります。