TINV関数 – 指定した両側確率に対応するt値を返す関数
1. 使い方と活用例
TINV関数は、指定された両側の確率に対するt分布の臨界値(t値)を返す旧関数です。
この関数は主に、両側t検定における有意水準から対応するt値を求めたいときに使用されます。
Excel 2010以降では非推奨とされており、代わりに T.INV.2T
関数の使用が推奨されています。
2. 基本の書式
=TINV(確率, 自由度)
3. 引数の説明
- 確率 – 両側検定における合計確率(通常は有意水準 α)を指定します(例:0.05)。
- 自由度 – t分布の自由度(通常はサンプル数 − 1)を整数で指定します。
4. 使用シーン
- 両側t検定において、有意水準から臨界値を求めたいとき
- 統計的仮説検定で棄却域のt値を計算したいとき
- 信頼区間を構成するための係数を求めたいとき
5. 応用のポイント
TINV関数は「両側」の確率に基づいたt値を返します。
たとえば、有意水準5%の両側検定なら 確率 = 0.05
を指定します。
このt値は、標本統計量がこの値より大きい(または小さい)範囲に入った場合に帰無仮説が棄却されることを意味します。
6. 具体例とその解説
=TINV(0.05, 10)
自由度10のt分布において、両側5%の確率に対応するt値を求めます。
結果は約 2.228 となります。これは、t値が ±2.228 を超えると有意とみなされる基準値です。
=TINV(0.01, 20)
有意水準1%(両側)の臨界値を求めた例です。自由度20での結果は約 2.845 です。
7. 関連関数の紹介
- T.INV.2T関数 – 指定した両側確率に対応するt値を返す推奨関数
- T.INV関数 – 片側確率に対応するt値を返す関数
- T.DIST関数 – 指定したt値の累積確率または密度を返す関数
- T.TEST関数 – t検定のp値を返す関数
8. まとめ
TINV関数は、両側t検定における臨界値を求めるために用いられていた旧関数です。
現在では、より明確で扱いやすい T.INV.2T関数
の使用が推奨されていますが、古いブックとの互換性のために残されています。
9. 対応バージョン
TINV関数は、Excel 2007以前では現役関数として使用されていました。
Excel 2010以降では非推奨となり、T.INV.2T
関数への移行が推奨されています。