T.INV関数 – 統計

T.INV関数 – 指定した確率に対応するt分布のt値(片側)を返す関数


1. 使い方と活用例

T.INV関数は、片側t分布において、指定した確率に対応するt値(臨界値)を求める関数です。
主にt検定や信頼区間の計算、統計的な仮説検定において、有意水準やp値に対応するt値を逆算するために使用されます。

2. 基本の書式

=T.INV(確率, 自由度)

3. 引数の説明

  • 確率 – t分布の右側(片側)累積確率を指定します。通常は 0~1 の間の値を使用します。
  • 自由度 – t分布の自由度を表す正の整数値です。

4. 使用シーン

  • t検定で、p値に対応する臨界t値を取得したいとき
  • 信頼区間の境界値を計算したいとき
  • 検定統計量と臨界値を比較する判断基準を作りたいとき

5. 応用のポイント

T.INV関数は片側分布専用です。両側検定に使う場合は、T.INV.2T関数を使用するか、
有意水準を2で割ってT.INVに渡すことで片側から両側臨界値を得ることも可能です。
なお、確率が1に近づくほどt値は小さくなり、0に近づくほど大きなt値となります。

6. 具体例とその解説

=T.INV(0.05, 10)

自由度10のt分布において、片側5%の有意水準に対応するt値を求めます。
結果は約 -1.812(負の方向)となります。右側の正の方向のt値が欲しい場合は、
=T.INV(1 - 0.05, 10) を使い、結果は 1.812 になります。

=T.INV(0.025, 20)

この例では、有意水準2.5%(片側)の臨界値を求めています。結果は約 -2.086 です。
両側検定の5%に相当する正負両方のt値を知りたい場合は、T.INV.2T関数の使用が推奨されます。

7. 関連関数の紹介

  • T.INV.2T関数 – 指定した両側確率に対応するt値を返す関数
  • T.DIST関数 – 指定したt値に対するt分布の片側/両側の累積確率を返す関数
  • T.DIST.RT関数 – t分布の右側累積確率を返す関数
  • NORM.INV関数 – 正規分布における逆累積関数(類似用途)

8. まとめ

T.INV関数は、統計的検定や信頼区間の計算で、指定した確率に対応するt値を取得する際に欠かせない関数です。
片側検定に適しており、両側検定にはT.INV.2Tとの使い分けが重要です。
正確なt値の取得によって、仮説の検定や意思決定が理論的に裏付けられます。

9. 対応バージョン

T.INV関数は、Excel 2010以降のバージョンで使用可能です。
Excel 2007以前では、代わりに非推奨のTDIST関数やTINV関数を使用していました。