TDIST関数 – 互換性

TDIST関数 – t分布の片側または両側累積確率を返す関数


1. 使い方と活用例

TDIST関数は、t分布における片側または両側の累積確率(p値)を返す旧関数です。
主に、t検定などの統計的仮説検定において、観測されたt値に対する確率を計算するために使用されていました。
※この関数は Excel 2010 以降では非推奨となっており、代わりに T.DISTT.DIST.RTT.DIST.2T が推奨されています。

2. 基本の書式

=TDIST(x, 自由度, tails)

3. 引数の説明

  • x – 観測された t 値(実数)を指定します。
  • 自由度 – t分布の自由度を指定します(通常はサンプル数 – 1)。
  • tails – 検定のタイプ(片側または両側)を指定します。
    • 1:片側検定(右側累積確率)
    • 2:両側検定(両端の累積確率)

4. 使用シーン

  • t検定のp値を手動で計算したいとき(旧ブックでの互換性保持)
  • 観測値の有意性をt分布に基づいて評価したいとき

5. 応用のポイント

TDIST関数は、常に正のt値を入力する必要があります。負のt値を使うと正しく計算されません。
負のt値を使用したい場合は絶対値を取る必要があります(例:=TDIST(ABS(A1), df, 2))。
新しいブックでは、T.DIST.RTT.DIST.2T の使用を推奨します。

6. 具体例とその解説

=TDIST(2.5, 10, 2)

自由度10、t値2.5における両側検定のp値を返します。
この結果は、おおよそ 0.033 となり、有意水準5%以下で帰無仮説が棄却されるかを判断できます。

=TDIST(1.8, 12, 1)

片側検定の右側p値を返します。t=1.8、自由度12の場合、結果は約 0.048 です。

7. 関連関数の紹介

  • T.DIST関数 – 累積分布または確率密度を返す関数(片側・左側)
  • T.DIST.RT関数 – 右側の累積確率を返す関数
  • T.DIST.2T関数 – 両側の累積確率(p値)を返す関数
  • T.INV関数 – 指定した確率に対応するt値を返す関数(片側)

8. まとめ

TDIST関数は、t分布に基づいたp値の計算に使われていた旧関数であり、現在は新しい関数群に置き換えられています。
Excelの古いバージョンとの互換性のために残されていますが、T.DIST系列の関数の使用が推奨されます。

9. 対応バージョン

TDIST関数は、Excel 2007以前で標準関数として使用されていました。
Excel 2010以降では非推奨扱いとなっており、T.DISTT.DIST.RTT.DIST.2T を使用してください。