T.DIST.2T関数 – 両側t分布における累積確率(P値)を返す関数
1. 使い方と活用例
T.DIST.2T関数は、t検定において観測されたt値に対する両側累積確率(P値)を返す関数です。
このP値は、帰無仮説が正しいと仮定したときに、観測値が出る確率(またはそれ以上に極端な値が出る確率)を示します。
統計的有意性を判断するための指標として利用されます。
2. 基本の書式
=T.DIST.2T(x, deg_freedom)
3. 引数の説明
- x – 観測されたt値(正の数)を指定します。負の値を入力した場合は正の値に変換されて計算されます。
- deg_freedom – 自由度(通常はサンプル数−1)を正の整数で指定します。
4. 使用シーン
- t検定において、実際に得られたt値の有意性を確認する場合
- 仮説検定の結果として、P値を求めて結論を出したいとき
- 学術研究や品質管理での統計的根拠の算出
5. 応用のポイント
この関数は「両側検定」のP値を返すため、±xの両端の確率を合算して出力します。
たとえば、有意水準5%と比較して、=T.DIST.2T(x, df)
の結果が0.05未満であれば、帰無仮説は棄却されます。
片側検定の場合は、T.DIST
関数を使って適切に処理してください。
6. 具体例とその解説
=T.DIST.2T(2.086, 20)
この式は、自由度20でt値2.086に対応する両側の累積確率(P値)を返します。
もし結果が0.05以下であれば、有意水準5%で「有意差あり」と判断されます。
7. 関連関数の紹介
- T.TEST関数 – 2つのデータセットの平均の差についてt検定を実行し、P値を返す関数
- T.INV.2T関数 – 指定した確率に対応するt値(臨界値)を返す関数
- T.DIST関数 – 片側t分布の累積確率または確率密度を返す関数
- Z.TEST関数 – 標準正規分布を用いたZ検定のP値を返す関数
8. まとめ
T.DIST.2T関数は、t検定で得られたt値に基づくP値を計算し、統計的な有意性の評価を行うための重要な関数です。
帰無仮説を棄却するかどうかを判断する基準として広く活用されており、研究・分析の現場で頻繁に使われます。
9. 対応バージョン
T.DIST.2T関数はExcel 2010以降で使用可能です。
Excel 2007以前では使用できないため、代替としてTTEST関数などを利用する必要があります。