STDEV.P関数 – 統計

STDEV.P関数 – 母集団全体の標準偏差を求める関数


1. 使い方と活用例

STDEV.P関数は、母集団全体のデータを対象に標準偏差(標準偏差 σ)を計算する関数です。
すべてのデータを観測している場合に使用し、データのばらつき具合を定量的に把握するのに役立ちます。

2. 基本の書式

=STDEV.P(数値1, [数値2], …)

3. 引数の説明

  • 数値1 – 標準偏差を求める対象となる最初の数値またはセル範囲。
  • 数値2 以降(省略可)– 追加の数値または範囲(最大254個まで指定可能)。

4. 使用シーン

  • 工場の全製品の検査データなど、母集団全体を対象に分析したいとき
  • 企業の社員全員の給与分布を確認する場面
  • アンケート結果など全体を網羅しているデータのばらつきを確認したいとき

5. 応用のポイント

STDEV.P関数は、すべてのデータ(母集団)を対象として計算され、分母は n になります。
標本に対して計算したい場合は STDEV.S関数 を使用します。
文字列や論理値は無視されますが、配列内に含まれている場合は例外もあるため注意が必要です。

6. 具体例とその解説

=STDEV.P(A1:A5)

A1~A5の値を母集団と見なし、標準偏差を求めます。

=STDEV.P(10, 15, 20, 25, 30)

5つの値の標準偏差を計算します。平均は20、ばらつきを計算した結果、標準偏差は 約7.071 となります。

7. 関連関数の紹介

  • STDEV.S関数 – 標本データの標準偏差を求める関数(分母は n−1)
  • VAR.P関数 – 母集団全体の分散を求める関数
  • AVERAGE関数 – 平均を求める基本関数
  • STDEVP関数 – STDEV.Pの旧バージョン(非推奨)

8. まとめ

STDEV.P関数は、母集団すべてのデータに基づいた正確な標準偏差を求める際に使用します。
データ分析や品質管理、全体把握を前提とした統計処理に非常に適しています。
標本分析には STDEV.S関数との使い分けが重要です。

9. 対応バージョン

STDEV.P関数は、Excel 2010以降で使用可能です。
Microsoft 365、Excel for Mac、Web版Excelにも対応しています。
Excel 2007以前では STDEVP関数 を使用します。