SLOPE関数 – 統計

SLOPE関数 – 回帰直線の傾きを求める関数


1. 使い方と活用例

SLOPE関数は、最小二乗法に基づく線形回帰直線の「傾き」を計算する関数です。
主に、2つの数値データ(独立変数と従属変数)の関係を分析する際に使用されます。
この関数は、y = mx + b の「m」にあたる部分を求めます。

2. 基本の書式

=SLOPE(既知のy, 既知のx)

3. 引数の説明

  • 既知のy – 従属変数(y軸側の値)のデータ配列またはセル範囲。
  • 既知のx – 独立変数(x軸側の値)のデータ配列またはセル範囲。

4. 使用シーン

  • 売上と広告費など、2変数間の関係を分析したいとき
  • 過去のデータから傾向(トレンド)を数値で把握したいとき
  • 回帰分析や予測モデルの構築時

5. 応用のポイント

SLOPE関数は、LINEST関数やINTERCEPT関数と組み合わせることで、回帰直線の式を完全に構築できます。
SLOPEは「傾き」のみを返しますが、回帰分析全体を扱いたい場合は分析ツールパックや統計関数を併用すると便利です。
引数の長さが異なる場合や非数値が含まれると、エラーが返されるので注意が必要です。

6. 具体例とその解説

=SLOPE({2,4,6,8}, {1,2,3,4})

この式では、xの値が {1,2,3,4} に対し、yの値が {2,4,6,8} であることから、
回帰直線の傾きは 2 になります。つまり、xが1増加するごとにyは2増加しています。

=SLOPE(B2:B6, A2:A6)

セル範囲を指定することで、実際のデータを用いた回帰分析が可能です。
A列がxのデータ、B列がyのデータである場合、この式はそれらの回帰傾きを返します。

7. 関連関数の紹介

  • INTERCEPT関数 – 回帰直線の切片(y軸との交点)を求める関数
  • LINEST関数 – 線形回帰の係数や統計情報を返す高度な関数
  • FORECAST.LINEAR関数 – 線形回帰に基づいて将来の値を予測する関数
  • RSQ関数 – 決定係数(R²)を返す関数

8. まとめ

SLOPE関数は、2つのデータの間にどれだけの相関があるか、またその傾きがどの程度かを数値で把握するのに役立ちます。
予測や傾向分析の第一歩として非常に有効な関数です。

9. 対応バージョン

SLOPE関数は、Excelのすべてのバージョン(Excel 2007以降)で使用可能です。