PRICEDISC関数 – 割引債(利息なし債券)の価格を計算する関数
1. 使い方と活用例
PRICEDISC関数は、利息の支払がない割引債(ゼロクーポン債)において、額面100あたりの現在価格を計算する関数です。
この関数は、発行日と償還日、割引率などを基に、将来額面で償還される債券の現在価値を求めます。
満期一括償還の国債・短期債などに適用されます。
2. 基本の書式
=PRICEDISC(発行日, 償還日, 割引率, 清算価格, [基準])
3. 引数の説明
- 発行日 – 債券の発行日を日付で指定します。
- 償還日 – 債券の満期日(額面が返済される日)を日付で指定します。
- 割引率 – 年間の割引率(利回り)を実数で指定します(例:4.5% → 0.045)。
- 清算価格 – 償還時の額面価格(通常は100)を指定します。
- 基準(省略可)– 日数計算の方式を指定します。
- 0 = 30日/360日(米国式、既定)
- 1 = 実際/実際
- 2 = 実際/360日
- 3 = 実際/365日
- 4 = 30日/360日(ヨーロッパ式)
4. 使用シーン
- 利子のない短期国債(ゼロクーポン債)の価格評価
- 利回りに基づいて債券価格を逆算したい場合
- 企業の短期借入(CPなど)の現在価値計算
5. 応用のポイント
PRICEDISC関数では、利息が支払われない前提で価格が計算されます。
利率が価格に反映されるのではなく、割引率によって価格が決定されるため、
市場利回りが高いほど債券価格は低くなります。
利付債(クーポン付き債券)にはPRICE関数を使用してください。
6. 具体例とその解説
=PRICEDISC(DATE(2025,4,1), DATE(2026,4,1), 0.045, 100, 0)
この式は、発行日が2025年4月1日、満期が2026年4月1日、
割引率4.5%、額面100の割引債の現在価格を求めます。
結果は「95.69」となり、投資家は額面100を将来受け取るために95.69で購入することになります。
7. 関連関数の紹介
- PRICE関数 – クーポン付き債券の価格を求める関数
- PRICEMAT関数 – 利子が償還時に一括で支払われる債券の価格を求める関数
- YIELDDISC関数 – 割引債の価格から利回りを計算する関数
- YIELD関数 – 利付債の利回りを求める関数
- PV関数 – 一括受取額の現在価値を求める関数
8. まとめ
PRICEDISC関数は、利息なし(ディスカウント)債券の価格を正確に計算するための関数です。
発行日から償還日までの期間と割引率に基づき、額面に対していくらで購入すべきかを判断できます。
価格と利回りの関係を理解し、他の債券関数と正しく使い分けましょう。
9. 対応バージョン
PRICEDISC関数は、Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Microsoft 365やExcel Onlineでも利用できます。