PHI関数 – 標準正規分布の確率密度関数(PDF)の値を返す関数
1. 使い方と活用例
PHI関数は、標準正規分布(平均0、標準偏差1)における、指定した x の確率密度関数(PDF)の値を返す関数です。
統計やデータ分析で、確率密度を知りたい場合や、分布の形状を可視化するための計算に用いられます。
2. 基本の書式
=PHI(x)
3. 引数の説明
- x – 確率密度関数を計算したい点(zスコア)を指定します。任意の実数値が指定可能です。
4. 使用シーン
- 正規分布のグラフ(ベルカーブ)の縦軸の値(高さ)を計算したいとき
- zスコアに対応する確率密度を求めて、統計的な解釈をしたいとき
- データの分布の中心からの離れ具合を密度として確認したいとき
5. 応用のポイント
PHI関数が返すのは「確率」ではなく「確率密度」であり、
これは分布の形状や高さを示す値であって、「発生する確率の合計」ではありません。
確率を求めたい場合は、NORM.S.DIST(x, TRUE)
を使う必要があります。
6. 具体例とその解説
=PHI(0)
z = 0 のときの確率密度(標準正規分布の中心)を求めます。
結果は 約0.3989。これはベルカーブの頂点の高さです。
=PHI(1)
z = 1 の位置での密度を計算。
結果は 約0.24197。中心から離れるほど密度は下がります。
=PHI(-2)
z = −2 の位置での密度は 約0.05399。分布の裾にあたる位置です。
7. 関連関数の紹介
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の累積分布関数(CDF)やPDFを求める関数
- NORM.DIST関数 – 任意の平均・標準偏差の正規分布の確率を求める関数
- NORM.INV関数 – 累積確率から正規分布の値を逆算する関数
- Z.TEST関数 – z検定を実行する統計関数
8. まとめ
PHI関数は、標準正規分布に基づく確率密度を求めるシンプルで便利な関数です。
統計グラフ作成や分布分析におけるベースとなる値として利用でき、特に視覚化や分布の比較に役立ちます。
9. 対応バージョン
PHI関数は、Excel 2013以降のバージョンで使用可能です。
Excel 2010以前では利用できません。