NPV関数 – 財務

NPV関数 – 正味現在価値(Net Present Value)を計算する関数


1. 使い方と活用例

NPV関数は、将来のキャッシュフローを指定された割引率で現在価値に割り引き、それらの合計を求める関数です。
主に投資判断やプロジェクトの収益性評価において、投資の採算性を測る指標として使用されます。

2. 基本の書式

=NPV(割引率, 値1, [値2], ...)

3. 引数の説明

  • 割引率 – 各期間に適用される一定の利率(割引率)を指定します。
  • 値1, [値2], … – 各期におけるキャッシュフロー(収益や費用)を指定します。最初の投資額は含めず、別途加算する必要があります。

4. 使用シーン

  • 将来の収益から投資の現在価値を求めたい場合
  • 複数年にわたるキャッシュフローを現在価値で評価したい場合
  • 事業やプロジェクトの投資判断における意思決定材料として使う場合

5. 応用のポイント

NPV関数では、最初の投資額(通常は期首に発生)は関数に含めず、NPVの結果に手動で加算または減算します。
関数が計算するのは「1期目以降のキャッシュフローの現在価値」であるため、初期投資がある場合は次のように記述します。

=NPV(利率, 期1以降のフロー) - 初期投資

また、すべてのキャッシュフローは等間隔(通常は年単位など)である必要があります。

6. 具体例とその解説

=NPV(0.08, 10000, 12000, 14000) - 30000

この式では、年8%の割引率で、3年間に渡って得られるキャッシュフロー(10,000円、12,000円、14,000円)を現在価値に割り引き、それらの合計から初期投資30,000円を差し引いて正味現在価値を計算しています。
この結果が正の値であれば、投資は経済的に有益と判断されます。

7. 関連関数の紹介

  • IRR関数 – 内部収益率(NPVが0となる割引率)を求める関数
  • XNPV関数 – 不規則な日付に対応した正味現在価値を求める関数
  • PV関数 – 1つの定期キャッシュフローの現在価値を求める関数
  • RATE関数 – 一定のキャッシュフローに対する割引率(利率)を求める関数

8. まとめ

NPV関数は、投資プロジェクトの経済的な価値を評価するための基本的かつ強力な関数です。
割引率を適切に設定し、キャッシュフローの構造を正しく整理することで、資金の時間的価値を正確に反映した評価が可能になります。
IRR関数やXNPV関数と組み合わせることで、より高度な投資分析にも対応できます。

9. 対応バージョン

NPV関数は、Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。