NORM.S.INV関数 – 標準正規分布における逆累積確率(Z値)を求める関数
1. 使い方と活用例
NORM.S.INV関数は、平均が0、標準偏差が1の標準正規分布において、指定した累積確率に対応するz値(標準得点)を求めるための関数です。
統計的検定における臨界値の算出や、確率に基づく閾値の決定などに利用されます。
2. 基本の書式
=NORM.S.INV(probability)
3. 引数の説明
- probability – 累積分布における確率(0 より大きく 1 より小さい値)を指定します。
4. 使用シーン
- 統計的検定において有意水準に対応する臨界値(z値)を求めたいとき
- 特定の確率に対応するしきい値を設定したいとき
- 累積確率から逆にZスコアを知りたいとき
5. 応用のポイント
この関数は逆関数であるため、NORM.S.DIST関数で求めた確率から元のz値を再計算できます。
たとえば、95%の累積確率に対応するz値(約1.645)を求めることで、上位5%の基準点を設定できます。
累積確率が1または0に近すぎるとエラーになるため、注意が必要です。
6. 具体例とその解説
=NORM.S.INV(0.95)
この式は、累積確率が0.95となる点のz値を求めます。
結果はおよそ 1.6449 であり、標準正規分布において上位5%を分ける境界のzスコアを示します。
=NORM.S.INV(0.5)
この式は、中央値(確率0.5)に対応するz値を求めます。
標準正規分布の中央値は平均0のため、結果は0になります。
7. 関連関数の紹介
- NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布におけるz値から確率を求める関数
- NORM.INV関数 – 任意の平均と標準偏差を持つ正規分布における逆累積確率を求める関数
- NORMSINV関数 – 同様の目的で使われていた旧バージョンの関数
8. まとめ
NORM.S.INV関数は、累積確率からzスコアを求めるための強力なツールです。
確率に基づいた分析や意思決定において、標準正規分布を前提とする場面で広く活用されます。
精度の高い統計処理を行いたい場合に、必須の関数です。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
それ以前のバージョンでは使用できませんので、古い環境ではNORMSINV関数を使用する必要があります。