NORM.S.DIST関数 – 統計

NORM.S.DIST関数 – 標準正規分布の確率を求める関数


1. 使い方と活用例

NORM.S.DIST関数は、平均が0、標準偏差が1の標準正規分布における確率密度関数または累積分布関数の値を求める関数です。
テストの得点の偏差値評価や、品質管理における不良率の推定など、統計的な分析に頻繁に使用されます。

2. 基本の書式

=NORM.S.DIST(z, cumulative)

3. 引数の説明

  • z – 標準正規分布における z 値(標準化された値)を指定します。
  • cumulative – 論理値(TRUE または FALSE)を指定します。
    TRUE を指定すると累積分布関数の値を返し、FALSE を指定すると確率密度関数の値を返します。

4. 使用シーン

  • 偏差値に基づいた個人の相対的な位置を知りたいとき
  • 標準正規分布を前提とした統計的検定を行うとき
  • ある得点以下の発生確率を知りたいとき(累積分布)

5. 応用のポイント

Zスコア(標準化された値)を使って標準正規分布のグラフ上の位置を把握することができます。
特に累積分布を利用すれば、ある範囲以下の確率を簡単に求められます。
逆に、累積確率からzスコアを求めたい場合は NORM.S.INV関数を使用すると便利です。

6. 具体例とその解説

=NORM.S.DIST(1.5, TRUE)

この式は、標準正規分布において z 値が 1.5 以下となる確率(累積分布関数の値)を返します。
結果はおよそ 0.9332 となり、z=1.5 以下のデータが全体の約93.32%を占めることを意味します。

=NORM.S.DIST(0, FALSE)

この式は、z=0 の時点での確率密度関数の値を求めます。
標準正規分布のピークにあたる値で、結果は約 0.3989 になります。

7. 関連関数の紹介

  • NORM.DIST関数 – 任意の平均と標準偏差に基づいた正規分布の確率を求める関数
  • NORM.S.INV関数 – 標準正規分布における累積確率から z 値を求める関数
  • NORM.INV関数 – 任意の正規分布における累積確率から値を求める関数

8. まとめ

NORM.S.DIST関数は、標準正規分布に関連する分析に不可欠な関数であり、zスコアに基づいて確率や分布の特性を把握するのに非常に便利です。
累積と密度の2種類の出力を切り替えることで、さまざまな統計的解析に対応できます。

9. 対応バージョン

Excel 2010以降で使用可能です。
それ以前のバージョンでは使用できませんので注意が必要です。