NEGBINOM.DIST関数 – 負の二項分布に基づく確率を返す関数(新バージョン)
1. 使い方と活用例
NEGBINOM.DIST関数は、一定回数の成功を得るまでに発生する失敗数の確率または累積確率を求める関数です。
旧NEGBINOMDIST関数の後継で、確率質量関数か累積分布関数かを選べる点が特徴です。
営業・品質管理・マーケティングなど、確率的な評価や予測に用いられます。
2. 基本の書式
=NEGBINOM.DIST(number_f, number_s, probability_s, cumulative)
3. 引数の説明
- number_f – 必須。成功するまでに発生する失敗回数(0以上の整数)。
- number_s – 必須。必要とする成功回数(1以上の整数)。
- probability_s – 必須。1回の試行における成功確率(0以上1以下)。
- cumulative – 必須。論理値。TRUE の場合は累積分布関数、FALSE の場合は確率質量関数(単一の確率)を返す。
4. 使用シーン
- 3件の契約を取るまでに必要な失敗回数の確率を分析したい場合。
- 品質検査において、n個の成功が出るまでに不良品がm個出る確率を求めたい場合。
- 成功率の低いイベントで、成功回数に対する失敗の分布を予測したい場合。
5. 応用のポイント
NEGBINOM.DIST関数は、成功回数固定・失敗数変動の状況に用います。
number_f + number_s – 1 回目までの試行において、最後が成功である必要があります。
cumulative = TRUE
にすると、指定した失敗回数以下の確率を求める累積分布として扱えます。
6. 具体例とその解説
成功確率0.4で、3回成功するまでに5回失敗する確率を求めたい場合
=NEGBINOM.DIST(5, 3, 0.4, FALSE)
この式は、ちょうど5回失敗して3回成功する確率(確率質量)を返します。
結果は約0.1003(10.03%)になります。
次に、5回以下の失敗で3回成功する確率(累積)を求めるには
=NEGBINOM.DIST(5, 3, 0.4, TRUE)
この式は、失敗回数0〜5までのすべての確率の合計を返します。
7. 関連関数の紹介
- NEGBINOMDIST関数 – 非推奨となった旧バージョン(累積オプションなし)
- BINOM.DIST関数 – 一定試行回数における成功数の確率を返す二項分布関数
- POISSON.DIST関数 – 単位時間あたりの事象発生確率を返す関数
- HYPGEOM.DIST関数 – 無作為抽出における成功数の確率を求める関数
- EXPON.DIST関数 – 指数分布の確率を返す関数
8. まとめ
NEGBINOM.DIST関数は、一定回数の成功が得られるまでに発生する失敗数に基づく確率を求めるための関数です。
確率質量(単一)と累積の両方に対応しており、旧関数よりも柔軟な分析が可能です。
ビジネス・品質管理・統計解析における不確実性の評価に広く活用できます。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも完全対応しています。