MODE.MULT関数 – 複数の最頻値(モード)を返す関数
1. 使い方と活用例
MODE.MULT関数は、指定された数値データの中で、最も頻繁に出現する値(最頻値)が複数ある場合に、それらすべてを配列として返す関数です。
データセットに複数のモードが存在する場合、それらを一括で取得したいときに使用されます。
この関数はExcel 2010以降で導入され、旧MODE関数の拡張版です。
2. 基本の書式
=MODE.MULT(number1, [number2], ...)
3. 引数の説明
- number1 – 必須。最頻値を求めるための最初の数値または範囲。
- [number2], … – 省略可能。追加の数値や範囲(最大254個まで指定可能)。
4. 使用シーン
- アンケートの選択結果などで、最も多く選ばれた選択肢が複数あるかどうかを確認したい場合。
- 複数のモードを持つデータセットを分析したい場合。
- 統計的な視点で、モード(最頻値)の分布傾向を把握したい場合。
5. 応用のポイント
MODE.MULT関数は配列関数として扱われるため、結果を複数のセルに出力する場合、範囲を選択してから数式を入力し、Ctrl + Shift + Enterで確定する必要があります(旧バージョンのExcel)。
Excel 365やExcel 2019以降のバージョンでは、動的配列機能により、通常のEnterで自動的にスピル出力されます。
出現回数が同じ値が複数ある場合、それらすべてがモードとして返されます。
6. 具体例とその解説
次のデータがあるとします(セル範囲 A1:A10):
2, 4, 4, 5, 5, 6, 7, 8, 5, 4
この範囲において最も頻出する値は「4」と「5」で、どちらも3回出現しています。
=MODE.MULT(A1:A10)
この式は、結果として「4」と「5」の2つを縦にスピル出力します(Excel 365の場合)。
古いExcelでは、2セル以上を選択してから式を入力し、Ctrl + Shift + Enterで配列として確定します。
7. 関連関数の紹介
- MODE.SNGL関数 – 最初に見つかった最頻値(1つのみ)を返す関数
- MEDIAN関数 – 中央値を返す関数
- AVERAGE関数 – 平均値を返す関数
- FREQUENCY関数 – 各値の出現頻度をカウントする関数(配列関数)
- UNIQUE関数 – 重複を除いた一意の値を返す関数(動的配列対応)
8. まとめ
MODE.MULT関数は、複数のモードを持つデータセットを正確に把握できる強力な統計関数です。
複数の最頻値が存在する場合でも、すべてを返してくれるため、偏りのあるデータや選択肢の傾向分析に役立ちます。
動的配列対応のExcelであれば、より簡単に扱うことができます。
9. 対応バージョン
Excel 2010以降で使用可能です。
Excel 365 や Excel 2019以降では、動的配列機能により配列の入力がより簡単に行えます。