MIRR関数 – 複利計算を考慮した修正内部収益率(MIRR)を求める関数
1. 使い方と活用例
MIRR関数は、投資のキャッシュフローに対して、再投資利率と資金コストを考慮した修正内部収益率(Modified Internal Rate of Return)を計算する関数です。
通常のIRR(内部収益率)よりも現実に即した指標で、再投資の前提が異なるプロジェクトの比較に適しています。
2. 基本の書式
=MIRR(values, finance_rate, reinvest_rate)
3. 引数の説明
- values – 必須。キャッシュフローを表す数値の配列または範囲。
1つ以上の負の値(投資)と正の値(回収)が含まれている必要があります。 - finance_rate – 必須。資金コスト(投資にかかる利率)。
- reinvest_rate – 必須。回収された資金を再投資する際の利率。
4. 使用シーン
- 複数の投資案件を、より現実的な利率で比較したい場合。
- IRR関数の結果が複数になったり、不安定な場合に安定した評価指標が欲しい場合。
- 資金調達コストと運用益の両方を加味した投資収益性を把握したい場合。
5. 応用のポイント
MIRR関数は、IRR関数と異なり、資金調達コスト(finance_rate)と再投資利率(reinvest_rate)を分けて設定できるため、現実的な財務前提に基づいた分析が可能です。
IRRと異なり、複数の解やエラーが出にくいという利点もあります。
6. 具体例とその解説
以下のようなキャッシュフローが A1:A5 にあるとします。
-10000(初期投資), 2500, 3000, 4200, 3800(各年の回収)
資金コストが10%、再投資利率が12%と仮定して、MIRRを求める式は次のようになります。
=MIRR(A1:A5, 0.1, 0.12)
この式は、上記の条件に基づいた修正内部収益率を返します(例:約12.8%)。
7. 関連関数の紹介
- IRR関数 – 通常の内部収益率(再投資利率を考慮しない)を返す関数
- NPV関数 – 正味現在価値を返す関数(一定割引率を使用)
- XIRR関数 – 日付ごとの不規則なキャッシュフローに対応したIRRを返す関数
- FV関数 – 投資の将来価値を求める関数
- RATE関数 – 投資やローンの利率を求める関数
8. まとめ
MIRR関数は、IRRの改良版とも言える関数で、投資判断をより現実的に行いたい場合に非常に有効です。
資金調達コストと再投資利率を明示的に分けられるため、ビジネスや財務モデルの精度が高まります。
IRRとあわせて利用することで、投資分析の信頼性を高めることができます。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。