MINVERSE関数 – 数学/三角

MINVERSE関数 – 正方行列の逆行列を返す関数


1. 使い方と活用例

MINVERSE関数は、指定した正方行列の逆行列を計算して返す関数です。
線形代数において、行列方程式の解を求める際や、統計処理、最適化などに利用されます。
逆行列とは、元の行列と掛け算すると単位行列(対角線に1、それ以外が0の行列)になる行列のことです。

2. 基本の書式

=MINVERSE(array)

3. 引数の説明

  • array – 必須。逆行列を求める対象となる正方行列(n行n列)。

4. 使用シーン

  • 行列方程式 AX = B において、X = A⁻¹B を求めるために A の逆行列を使用したい場合。
  • 重回帰分析や統計解析で、係数行列の逆行列が必要な場合。
  • ベクトルの変換や、線形変換の逆操作を実施したい場合。

5. 応用のポイント

MINVERSE関数は正方行列(行数と列数が同じ)でしか使用できません。
また、行列の行列式(determinant)が0の場合(特異行列)は逆行列が存在せず、#NUM! エラーが返されます。
結果は配列として返されるため、範囲選択後に数式を入力し、旧バージョンではCtrl + Shift + Enterが必要です。
Excel 365やExcel 2019以降では、動的配列により自動スピルされます。

6. 具体例とその解説

次の行列(セル範囲 A1:B2)があるとします。

A1:B2 =
1 2  
3 4

この行列の逆行列を求めるには、次の式を使用します。

=MINVERSE(A1:B2)

結果は次の行列になります(スピルまたは配列として展開)。

-2  1  
1.5 -0.5

この逆行列を元の行列に掛けると、単位行列になります(確認にはMMULT関数を使用)。

7. 関連関数の紹介

  • MMULT関数 – 2つの配列(行列)の積を返す関数
  • MINVERSE関数 – 行列の逆行列を求める関数(今回の主題)
  • MDETERM関数 – 行列式(determinant)を求める関数
  • LINEST関数 – 回帰分析で内部的に行列演算を行う関数
  • TRANSPOSE関数 – 行列の転置を行う関数

8. まとめ

MINVERSE関数は、正方行列の逆行列を簡単に求めることができる便利な関数です。
線形代数や統計処理において重要な役割を果たし、MMULT関数などと組み合わせることで、より高度な行列演算が可能になります。
行列が特異でないか(行列式が0でないか)に注意して使用しましょう。

9. 対応バージョン

Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365やExcel 2019以降では、動的配列に対応しており、結果の自動展開が可能です。