MDETERM関数 – 配列(行列)の行列式(determinant)を求める関数
1. 使い方と活用例
MDETERM関数は、指定した正方行列(n×n)の行列式(determinant)を計算します。
線形代数に基づく数式や、複数の連立方程式の解法、行列の性質の判定などに利用されます。
2. 基本の書式
=MDETERM(array)
3. 引数の説明
- array – 行列式を計算するための数値配列を指定します。行数と列数が等しい正方行列である必要があります。
4. 使用シーン
- 連立方程式の解を行列計算で求めたいとき
- 行列が逆行列を持つかどうか(行列式≠0)を確認したいとき
- 線形代数の理論をExcel上で再現したいとき
5. 応用のポイント
行列式が0でない場合、その行列には逆行列が存在します。
逆に、行列式が0であれば、行列は「特異(singular)」であり逆行列を持ちません。
また、MDETERM関数は正方行列でなければエラー(#VALUE!)を返すため、事前に行列サイズを確認することが重要です。
6. 具体例とその解説
=MDETERM({{1,2},{3,4}})
この式は、2×2の行列の行列式を計算します。
計算式は「1×4 − 2×3 = 4 − 6 = -2」で、結果は -2 です。
=MDETERM(A1:B2)
セル範囲 A1:B2 に 2×2 の数値行列が格納されている場合、その行列式を求めます。
このように、セル範囲を指定して実際のワークシートのデータに適用することができます。
7. 関連関数の紹介
- MINVERSE関数 – 行列の逆行列を返す関数
- MMULT関数 – 2つの行列の積(積和)を計算する関数
- TRANSPOSE関数 – 行列の行と列を入れ替える関数
8. まとめ
MDETERM関数は、行列の性質を確認したり、線形代数的な計算をExcel上で実行するのに非常に便利です。
特に工学、統計、物理、経済などの分野における数値解析で活用されます。
ただし、正方行列でないと使用できないという制約に注意してください。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
動的配列機能を併用する場合は、Excel 365やExcel 2019以降のバージョンが推奨されます。