KURT関数 – データの尖度(くし形度)を求める関数
1. 使い方と活用例
KURT関数は、数値データの「尖度(けんど、くし形度)」を計算する関数です。
尖度とは、データの分布が正規分布に比べて鋭く尖っているか、平たくなっているかを示す統計指標です。
統計分析やデータの正規性チェック、異常値検出などに利用されます。
2. 基本の書式
=KURT(number1, [number2], ...)
3. 引数の説明
- number1 – 必須。尖度を求める対象の数値、セル、または範囲。
- [number2], … – 省略可能。追加の数値または範囲(最大254個まで指定可能)。
4. 使用シーン
- データ分布の形状を分析し、正規性や外れ値の可能性を検討したい場合。
- 実験データやセンサーデータの尖り具合を評価したい場合。
- 分布の中心周辺にどれだけデータが集中しているかを比較したい場合。
5. 応用のポイント
KURT関数は、標本データ(母集団ではない)に基づいて「標本尖度」を返します。
正規分布の尖度は「0」とされ、KURT関数もそれに基づいて補正済み尖度を返します。
- 尖度 > 0 → 尖った分布(尖峰型)
- 尖度 = 0 → 正規分布に近い形状
- 尖度 < 0 → 平坦な分布(扁平型)
最低でも 4 つ以上のデータが必要で、それ未満の場合は #DIV/0!
エラーになります。
6. 具体例とその解説
次のようなデータがセル A1:A5 に入力されているとします。
3, 7, 7, 19, 25
=KURT(A1:A5)
この式は、5つの値の尖度を返します。結果が正であれば尖った分布、負であれば平坦な分布です。
数値の分布の形状を評価したいときに有用です。
7. 関連関数の紹介
- SKEW関数 – データの歪度(左右対称性)を求める関数
- AVERAGE関数 – 平均値を返す関数
- STDEV.S関数 – 標本の標準偏差を返す関数
- VAR.S関数 – 標本の分散を返す関数
- MAX関数 / MIN関数 – 最大値・最小値を求める関数
8. まとめ
KURT関数は、データの尖り具合(尖度)を測定する統計関数です。
正規分布との比較により、データが異常値を含む可能性や、中央に集まりすぎていないかなどを評価できます。
SKEW関数と併用することで、分布の形状(左右対称性と尖度)をより深く分析することが可能です。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel Online などの最新環境でも問題なく動作します。