IRR関数 – 一連のキャッシュフローから内部収益率(IRR)を求める関数
1. 使い方と活用例
IRR関数は、投資プロジェクトや事業の一連のキャッシュフロー(投資額と回収額)に基づいて内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)を計算する関数です。
IRRは、プロジェクトの収益性を示す指標の一つで、正味現在価値(NPV)がゼロになる割引率として定義されます。
2. 基本の書式
=IRR(values, [guess])
3. 引数の説明
- values – 必須。最初の投資額と、それに続く各期間のキャッシュフローの配列またはセル範囲(最低1つの負の値と1つの正の値を含む必要あり)。
- [guess] – 省略可能。IRRの初期推定値(通常は0.1=10%がデフォルト)。
4. 使用シーン
- プロジェクトや設備投資の収益性を数値的に評価したい場合。
- 複数の投資案件のどれが最も収益性が高いかを比較する場合。
- 資金の投下に対する回収効率を把握したい場合。
5. 応用のポイント
IRR関数は、NPV(正味現在価値)が0になる割引率を求めるため、NPV関数とセットでの理解
が重要です。
キャッシュフローに複数の符号の変化(正→負→正など)がある場合、複数のIRRが存在する可能性があるため、MIRR関数の使用が推奨されることもあります。
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6. 具体例とその解説
以下のようなキャッシュフローが A1:A5 に入力されているとします。
-10000(初期投資), 3000, 4200, 6800, 100
=IRR(A1:A5)
この式は、上記のキャッシュフローに対する内部収益率(年利率)を返します(例:約 18.2%)。
初期投資と各期の収入を基に、IRR(NPVがゼロになる割引率)を計算しています。
7. 関連関数の紹介
- MIRR関数 – 資金コストと再投資利率を考慮した修正IRRを返す関数
- NPV関数 – 一連のキャッシュフローの正味現在価値を返す関数
- XIRR関数 – 不規則な日付ベースのキャッシュフローに対してIRRを求める関数
- RATE関数 – ローンや投資の利率(定期的支払い前提)を返す関数
- FV関数 – 将来価値を計算する関数
8. まとめ
IRR関数は、キャッシュフローの時間的変化を考慮した収益性評価ができる強力な財務関数です。
NPVがゼロになる利率を求めることで、直感的に投資の妥当性を判断できます。
MIRRやXIRRと組み合わせれば、より複雑な投資条件にも柔軟に対応できます。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。