IMPRODUCT関数 – 複素数の積(掛け算)を計算する関数
1. 使い方と活用例
IMPRODUCT関数は、指定した複素数の積(乗算)を計算し、その結果を複素数として返す関数です。
複素ベクトルの演算や、複素数の極形式における回転・スケーリング計算など、工学や物理、数学の分野で広く利用されます。
2. 基本の書式
=IMPRODUCT(inumber1, [inumber2], ...)
3. 引数の説明
- inumber1, inumber2, … – 必須。掛け算の対象となる複素数(2つ以上)。
文字列形式で複素数を指定(例:”3+2i”、”1-1j”、”4″ など)。
4. 使用シーン
- 複素インピーダンスや電流の合成計算を行いたい場合。
- 複素ベクトルの積や極形式によるスケーリング・回転を表現したいとき。
- 複素数を掛け算して、変換・合成後の結果を取得したい場合。
5. 応用のポイント
IMPRODUCT関数は、複数の複素数を順に掛け合わせた結果を返します。
掛け算の順序が重要になる場合は、演算の並びに注意が必要です。
虚数単位は “i” または “j” のいずれも使用可能で、混在も可能です。
2つ以上の引数をカンマ区切りで指定し、一括して計算することができます。
6. 具体例とその解説
次の式は、”3+2i” と “1+i” の積を求めます。
=IMPRODUCT("3+2i", "1+i")
結果は 1+5i
になります。
計算式: (3+2i)(1+i) = 3 + 3i + 2i + 2i² = 3 + 5i − 2 = 1 + 5i
実数と複素数の積も可能です。
=IMPRODUCT("2", "4+3i")
結果は 8+6i
になります。
複数の複素数をまとめて掛けることもできます。
=IMPRODUCT("2+i", "1+i", "1-i")
結果は 6+i
となります。
7. 関連関数の紹介
- IMDIV関数 – 複素数の除算(割り算)を行う関数
- IMSUM関数 – 複素数の加算を行う関数
- IMSUB関数 – 複素数の減算を行う関数
- IMPOWER関数 – 複素数の累乗(べき乗)を計算する関数
- COMPLEX関数 – 実数と虚数から複素数を作成する関数
8. まとめ
IMPRODUCT関数は、複素数の掛け算を正確かつ簡潔に実行できる強力な演算関数です。
複素数の積は回転やスケーリングの意味を持つため、ベクトル演算や信号解析などにも幅広く応用されます。
他の複素関数と併用することで、複雑な数値処理がExcel上でスムーズに行えます。
9. 対応バージョン
Excel 2003以降のすべてのバージョンで使用可能です。
Excel 365、Excel 2019、Excel Online にも対応しています。